うぅ…痛い。痛い…。
夏野の野郎に本を投げつけられた時に負傷した俺の鼻が、清水に投げられた石によってまた再発しちまったじゃねーか…!俺のプリティーな鼻が修復不可能になったらどうしてくれんだッ!

こうなったのも全部夏野の所為だ!!

「お、どうした正雄。また夏野に本でも投げられたのか?鼻血出てるぞ」

「保!!もう二度とあいつの名前を俺の前で口に出すなよな!!虫唾が走る!!」

くそぉ…あいつがこっちに来てから俺の人生は転落だらけだぜ…!
何でこの俺があいつごときでこんな事にならなきゃいけねーんだよ!

「どいつもこいつも、夏野夏野って何だって言うんだよッ!都会にいたからって俺は他の奴らとは違うオーラだしやがって生意気だしッ!そもそも男の癖に夏野って何だよな!!」

男なら男らしい名前をつけろよな!俺の名前なんか見てみろ!正雄だぞ!
雄の字が入ってんだぞッッ!雄だぞ!雄!!

「どうしたんだよ正雄?今日はやけに夏野に突っかかな。…そう言えば、正雄も嫌っている癖に夏野の事を下の名前で呼んでるんだな。清水は清水なのにさ」

うっ、確かにそうだけど!でも、それにはちゃんと理由があるんだよ!
俺なりのふかーい理由がさ!

「だ、だって徹ちゃんがあいつの事、夏野夏野言うから嫌でも覚えちゃったんじゃないかッ!俺だってあんな奴の名前なんか知りたくなかったって言うのにさッ!!」

清水だって、徹ちゃんがそう呼んでいるから、俺も呼んでいるんだし!
あぁ、!徹ちゃんがあいつの名前を呼ぶ回数の方が俺の名前を呼ぶよりも多いいって何だよ!
もっと俺の名前を呼んでーーーー!!
コール・ミィィィィィ!!

「…ぶッ。案外、お前と夏野って似てるよな。ははは!」

…は?保、今…何を言った…?俺と誰が似ているだってぇいっ!?

「何言ってんだよ保ッッ!!!俺のどこがあんなクソ夏野なんかと…!!!」

くそ、保の余計な一言で、俺の気分が更にすこぶる悪くなったじゃねーか!!
胸焼けさえ催してきたぜ!!うえっぷ!
最悪だぜ!誰が好き好んで夏野なんかと似なきゃいけねーんだ!
俺はあんなにすかしてないし、生意気じゃないって言うの!
それに俺は徹ちゃんに似たいのッ!
むしろ徹ちゃんと一心同体になりたいのぅッッ!!!

「ぶくく…」

「笑いすぎだろ保!どんだけ人の事馬鹿にして笑えば気がすむんだよッ!」

まったく、夏野を見てキャーキャー言う女子と言い、保の笑いの壷も理解できねーぜ!
いい加減笑うのやめろよな!

「いや、だってさー…兄貴と夏野が会話してるの聞いたんだけど」

「何!?徹ちゃんだってぇ!?」

何だよ!また徹ちゃん俺のいないうちに夏野なんかと話ちゃってさ!!
保もどっちの味方なんだよな!俺達小さい頃からの腐れ縁だろ!
傍観者気取ってないで、あいつの魔の手から徹ちゃんを救い出すのを手伝えよな!!

「夏野も正雄の事を正雄って呼んでるだろ?」

「ん?そう言われて見れば…」

あいつに正雄なんて呼ばれた日には俺にとっちゃ不愉快そのものだけどね!

普段は、おい、とかだけど!
正雄って徹ちゃんに話ているのを影で聞いたことがあるし!
ま、俺に直接言って来る事はないけどねっ!

…あ。も、もしかしてあいつ、実は俺と仲良くしたいとか!?
まぁ、この俺と仲良くしたい気持ちは分からなくはないけどねッ!
こんなにも友達思いないい奴はどこへ行ってもいないだろうし!まったく、あいつも素直じゃないよな!
徹ちゃんを返してくれたら、ちょ、ちょっと位…、

「でさ、その事で、兄貴がー…」

"そう言えば、何やかんやでお前も正雄って下の名前で呼んでるのな。夏野の事だから正雄の事を苗字とかで呼びそうだけど"

"…あぁ。あいつの苗字知らないから"

"ん?…え"

"徹ちゃんが正雄って言ってたから、そいつの名前を知っただけに過ぎないからな。これからも知るつもりはないし、そもそも興味ない"

"そうきたか…ま、夏野らしいっちゃ夏野らしいけどな"

「…って正雄と同じ事、夏野も言ってたぞ?お前ら二人とも兄貴基準ってどんだけだよ」

「キッ…キェェェェーーーーー!!!!!」

ちくしょうッッ!!お前のこと嫌い嫌いと思ってたけど、やっぱりお前なんかっっっ



大っっ嫌いだぁぁぁぁーーーー!!!


Thanks Clap Hikage.
きっきぇぇえ!!

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