また君に会いたい (コレは仲間が起こしてくれたキセキ………ですかね?) 学校初日。 アメリカからの帰国子女、火神大我は入学式を終え、クラスでごく一般的な自己紹介をし、バスケ部に行きたかったが入学式から部活があるはずもなく、しかたなく家路についた。 ついたはずだった。 しかし、現在校門にいる彼の目の前には立ちふさがるかのように佇む色とりどりな5つの大きな影。 殺気のようなものまで出している。 「………は?」 勿論、火神は見ず知らずの相手に立ちふさがれるようなことも、ましてや殺気を当てられるようなことをした覚えはない(目つきの悪さや彼の知らないうちにしていたかもしれないが)。 「お前が火神大我だな?」 *** 黒子が死んだ、そして幽霊になったことをなんとか受け入れたキセキ達は、改めて黒子を見ていた。 「本当に幽霊なんだー」 そういいながら黒子に触る(といってもすり抜けるが)のは紫原。 まるで生きているような黒子の姿だが、やはり幽霊だということを実感する。 「はい。確かにトラックに跳ねられましたから」 その瞬間、黒子以外の顔が曇る。 いくら受け入れたといっても、やはりハッキリ告げられるのは、ツラい。 黒子は、浮くと今度は紫原の頭上にくる。 「そんな顔しないでください。それに案外、この体も気に入ってるんですよ?紫原くんを見下ろすなんて、生前じゃ考えられませんでしたから」 そういうと、黒子は笑った。 ニコッと笑おうとしたようだが、黒子の笑顔はヒドく切なげで苦しそうだった。 どうしようもなく、胸が締め付けられる。 「………テツヤを跳ねたヤツは殺しておくとして、テツヤはこれからどうするつもりだ?」 胸の痛みを押さえつけ、赤司が黒子に尋ねた。 「どうする…とは?」 黒子が赤司に尋ね返す。 しかし、黒子に答えたのは緑間だった。 「決まっているのだよ………“未練”があるといっていただろう?それをどうするかだ」 緑間の言葉に一瞬だけきょとんとしたあと、黒子は目を閉じた。 トラックにぶち当たったとき、死んだとき。 頭に浮かんだのは一度だけ会った彼の笑顔だった。 そして気がつくと、彼と会ったこの公園にいたのだ。 そこまで思い返し、黒子は目を開いた。 「………できるなら、未練を果たしたいです。最期の願いですから」 自分の思いはそう決まっている、とでもいうような清々しい表情だ。 「……お前達 こい」 と、赤司が黒子以外のメンバーを集める。 そして黒子と少し距離をとった。 「で、テツヤはああ言っているが、お前達はどうするつもりだ?」 「どうする…ってどういうことっスか?」 「さっきのはテツヤに対してだが、今はお前達に対してだ。お前達は、テツヤをどうするつもりだ?」 黒子の未練を果たさせるとは、黒子を成仏させるということ。 つまり、黒子との永遠の別れを意味する。 それを如実に示され、全員が顔を伏せた。 「………質問が悪かったな。お前達は、テツヤにどうなって欲しいんだ?」 赤司は続けた。 「テツヤにこのままこの世にいて欲しいのか?それとも、テツヤに幸せになって欲しいのか?僕はテツヤに幸せになって欲しい。テツヤを一人にしてしまった罪がコレで償えるとは思ってないが、せめて最期の願いは、叶えてやりたい」 お前達はどうなんだ?赤司の言葉は、責めるでもなく、ただ問いかけていた。 「………俺は、テツとできんならずっと一緒にいてえ。けどよ、テツを突き放しちまったのは俺だ。今さら、んな事言えるワケがねーだろ。俺も、テツが望むんなら、なんだってしてやる」 青峰は、唇を噛んでいた。 「黒ちんは気が合わないこともいっぱいあったけどさー、お菓子と同じくらい好きだったんだよねー………だからさー、やっぱり、俺も赤ちんと同じかなー……」 紫原も、珍しくお菓子を食べずにいた。 「赤司のいう通りだ。黒子を一人にしたのは、俺達の責任だ。不本意だが、俺も黒子の未練を果たすことに協力してやるのだよ」 緑間が持っているラッキーアイテムの人形も、潰れるほどにキツく握られている。 「黒子っちがいなくなるのはイヤっスけど………黒子っちの未練、最期の願いを叶える方が大切っス」 最後に、黄瀬が涙目で告げた。 「………決まりだな」 *** それが昨日の夜の事。 そして現在にいたる。 「………」 黒子の言った未練とは、ある男の笑顔が忘れられないとの事だった。 本当は自分で探したかったようだが、黒子は特別な理由があるらしく、探せないという。 そのため、赤司達が探したのだ。 勿論、赤司に不可能は無い。 黒子から名前を聞き、すぐに誰かを突き止めこうして来たが……… 「な………なんだよ」 「………ハァ」 黒子のいっていた人物は、赤司達が想像していたよりも荒々しい印象の男だった。 「は!?なんで人の顔みてため息ついてんだよ!!」 「いや、あまりにも野蛮そうで人間かと疑ってしまっただけだよ」 「なんで俺じゃなくこんなヤツを黒子っちは!!」 「黄瀬ちんが五月蠅いからじゃないのー?てゆーか捻り潰したいコイツ」 「なら俺がやるぜ紫原ァ。馬鹿面がすっげえムカつくからよォ…」 「お前も同じくらい馬鹿面なのだよバカ。全く、本当にコイツなのか?赤司」 火神を中心にしている筈なのに、火神は五人に無視をされているという状況になっていた。 火神からすれば赤の他人(しかも殆どが自分より背が高い)に囲まれるという、意味不明すぎる異常事態。 ただでさえ回転の悪い彼の頭はオーバーヒートしかけていて、口は半開きだ。 「ああ、間近いない。おい」 混乱していた火神に、赤司が声をかけた。 火神の頭が再び活動を始める。 「て…テメェら誰だよ!なんで俺の名前…」 「少し黙れ。僕は今イラついてるんだ」 何をいうのも許されないような威圧感に、火神が口を閉じる。 「お前に会いたい、というヤツがいる。ついてこい」 「………は?」 火神の開いた口がまた塞がらなくなった。 *** 「で、誰なんだよ。俺に会いてーヤツってのは」 5人に連れられついた場所は公園。 小さなバスケのコートもあり火神もよくくる。 しかし、そこには自分たち以外には砂場で遊ぶ幼児しかいない。 火神から見ればだが。 「本当に連れてきてくれたんですか………」 黒子はほうけたように言った。 確かに赤司達は連れてくるとは言ったが、まさか1日で見つけるとは思ってなかったのだ。 「当然だろう?僕を誰だと思ってる」 「まぁ、黒子っちは見えてないみたいっスけどねー」 黒子が火神を探せなかった理由、それは自分の姿が見えない可能性がある、という事だった。 昨日確認してわかった事だが、基本的にキセキの世代以外には黒子の姿は見えない。 なので、こうして火神に会っても気づかれていない。 「予想していたこととはいえ、弱りました………会っても成仏しないので、僕の未練は会うだけではないようですし」 ハァ…とため息をつくと、黒子はこっそりと笑った。 (でも、きっとなんとかなりますよね?) (こうしてまた彼らと話せて、君にも会えたんですから。) *** 雲母といいます。 一様絵文サイトをやっています。 あれ、火黒がミスディレクション←←← ほとんどキセキになってしまった……… 番外編にしたほうがいいんじゃないか?これ りいやちゃんから素敵なパスをもらったのにごめんなさい! 皆さん、きっとなつはぎさんからはまた素敵な文に戻ります! 参加させていただき、ありがとうございました! |