「できた!」
そう言ったアスベルの手元には、綺麗に焼かれたチョコレートケーキがある。
ジュードと共に作ったそれを、お揃いのラッピングで包むと、2人は顔を見合わせて幸せそうに笑った。
「やっぱりジュードは手際がいいな」
「そんなことないよ。それに、アスベルだって手慣れた様子だったよ?」
「そう、か?」
「そうだよ」
可笑しそうにくすくすと笑い、ふとジュードが何かを思い出したようにラッピングしたケーキを差し出してきた。
その意図がわからないアスベルは、不思議そうにこてんと首を傾げている。
「いつもお世話になっているアスベルに…いつもありがとう。これからも、僕たちと一緒にいてね」
「…ジュード」
「ほら、アルヴィンたちに渡しに行こうよ」
「ああ!」
差し出されたケーキを受け取り、手を繋いでキッチンから出ていく。
甘ったるい香りのする、ラッピングされたそれを見て、満足そうに微笑みながら。
「アスベル」
「ジュード」
そして、大切な人が隣にいる幸福を噛み締めながら。
アスベルとジュードは、大切な人が待つ部屋へと走っていった。
HappyHappy Valentine's Day
(俺は、)
(僕は、)
(今、とっても幸せ)
fin