その答えに触れて | ナノ


▼ 32.年上の話は聞けェ!!

「えりかさん?おでこに吹き出物が……」
「山本のバトルが怖過ぎて肌荒れた」
「うちの時より挙動るな薄情もんめ」
「条件反射」

見てられないと両目を覆いながら指の隙間から画面チラ見してるこいつ。えりか。結局病院に来ない上に喧嘩の続きも出来ず不完全燃焼でこのまま鎮火されそうな勢いだ。いや蒸し返すけど。タイミングあれば蒸し返すけど。でもまぁ、今は焦がれてやまない山本のバトルだということで多めに見てやろうと思う。その吹き出物に免じてな!!

《う"おおおおい!!!雪女ああ!》
「……え。なに。えりかのこと?」
「じゃあもえは風女か」
「ふっ。ネーミングセンス」
「ひー。」
《ヒソヒソ話すんじゃねえ!クソミソ共!》

画面の向こう側からスクアーロである。ザンザスがえりかに声をかけて以降なにかとちょっかいをかけてくる男だ。日本語上手いのは認めるがネーミングセンスのなさが悲しい。

《この雨戦の勝負…俺がこの小僧を3枚に卸した瞬間、てめえはヴァリアーに入ってもらう。》
「え!?」

いや。えりかと綱吉君のテンションの違いよ。普通逆だよね。えりかが可愛らしく「え!?」て言うとこだよね。あんたの顔むしろ、目が点。目が点なんだわ。

「何言ってるの……」

お。いいぞいいぞ。ヒロインぽいぞ。

「山本が負けるわけないでしょ!?自信持ちすぎでしょ!?どんだけ!!?」

現代人可愛くない。

「負ける=死亡フラグが立ったじゃん!!あるわけないよ!たとえそんなフラグ立ったとしてもあたしが根元からごっそり引っこ抜いてやるわ!!」

むしろ男前っっ。

《上等じゃねーかァァ!真っ先にクソボスに献上してやるぜえ!!!》
「やれるもんならやってみろー!」
「おま、ば……馬鹿!」
「うむ!山本のバトル…極限に熱いな!」
「熱いのむしろロン毛とえりかちゃんー!!」
《ハハハッ!おもしれー!》

こんな時でも突っ込みを忘れない綱吉君…大口開けて朗らかに笑う山本……。何言われたかわかってんのかこの人たち……。

《おもしれーけど…負ける気はしねーぜ》



負ける気がしなかった。だって親父が最強だって言うなら最強だろ?考えろ頭を回せ。次に打ち込むのはどの型だ?使えるのは?1回親父の型見て真似ただけだ。でも、型の継承は一度切り。あとは俺が……。

「刀小僧。あの小娘はお前らカスに扱える玉じゃねーぞぉ」
「?えりかのことか?」
「同じ穴の狢だぁ。裏の人間の匂いくらい分かる」

スクアーロも、ヴァリアーのボスも。えりかに同じことを言ってた。でもよ、えりかだぜ?普通の女子じゃねーか。色々知らない事は多いけど普通の、

「俺頭わりーから全然わかんねぇ」

俺の友達で、家族だ。えりかももえも、なんか一物持ってるのは気づいてるし、なんとかしてやりてーとも思ってる。でもそうしてやるにはまだまだ一緒にいる時間が浅過ぎて。

「でも一つ言わせて貰えりゃ俺は、あんたよりえりかの事分かってるつもりだぜ」
「はっ。時期に手に負えなくなるぞぉ」
「ハハッ!ちょっと元気過ぎる方があいつには似合うんだって!」

こいつらに、持ってかれてたまるかよ。どくりと心臓が弾んだ。ありゃ、なんだこれ。勝負に高揚してきたのか?

「俺もクソボスも、奴の"外側"に興味はねぇ。あるとしたら"内側"だ」
「外側?内側…?」
「うお"ぉい、なんだぁそれにすら気づいてねぇのか!」

スクアーロが呆れたように剣を一振りした。外側?内側?

「奴の中にはもう一人。でけぇ力を持った奴が潜んでる」

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