その答えに触れて | ナノ


▼ 25.予想外の行動

天才の仕掛けが分かり、一気に反撃する獄寺と血を流したことで本来の残虐性が冴え渡ったベル。敵ながら流れる血は痛々しい。

「どーなってんだよ!ナイフは当たってねーぞ!」
「血ぃ」
「っやられっかよお!」

ハリケーンタービンの爆発まであと6分。袋小路の図書室で最後の勝負に出たのは獄寺だ。ベルのナイフの仕組みは分かってる。ワイヤーだ。そして、獄寺の仕込みも無駄がない。無事に終われ。この戦いも。

「しししっ、おっしまーい」
「……お前がな」
「こぼれた火薬を導火線のように!」
「たわんだ糸じゃ切れねーぜ。そしてこのボムの行き先は…テメーのワイヤーに案内してもらうぜ!」

これが嵐の守護者の、怒濤の攻めだ。



「リングを渡して引き上げろ隼人!!こんなもんでくたばるなんて馬鹿げてる!戻れ!」

ハリケーンタービンの爆発が開始し、本能で食ってかかってくるベルに体力を極限まですり減らした獄寺は弾き返す力すら残っていない。ここで獄寺はリングを渡して命をとる。早く、ランボの時みたいに早く、綱吉君。

「ぶさけんな!俺が負けてみろ!」
「お前の相手はイカレちまってんだ!最早勝負になっちゃいねえ!戻るんだ!」
「手ぶらで戻れるかよ!!!」

−獄寺、ちょっと待って

「これで戻ったら10代目の右腕の名が、………」

−これあげる。これね、並盛の神社でちゃんとあたしがお願いして買ってきたお守り。ちゃんと習った通りお参りしたから、大丈夫。

「……っ、廃るんだよ!!!」
「ふざけるな!!何のために戦ってると思ってるんだよ!また皆で雪合戦するんだ!花火見るんだ!だから戦うんだ!だから強くなるんだ!また皆で笑いたいのに、君が死んだら意味ないじゃないか!」

−なにも掴んでないよりはマシだと思って

ピーーーッ



「…えりか」
「実験みたいに言うのは嫌なんだけど、あたし達が介入したらどこまで曲がるのか試したんだ。でもちゃんと願い込めたお守りなんだよ?」

獄寺が、もしかしたら勝つのではないかなんて。生還した獄寺に駆け寄っていく山本と綱吉君の背中を見つめながらえりかはそう言った。

「あたし達だけで、大きく変わることは無い。そんなに怯えなくても大丈夫だよ」
「え……?」
「もえ、あたしより情が深いから。もし時空の歪みで本来生きるべきはずの人が死んだら……なんて考えてるんだと思って。」
「ぎく……」
「そうだろうと思った。」

でも……でも気づいてる?獄寺が綱吉君に怒鳴られた時。えりかがあげたお守り握ったんだよ。まるで、これがあれば勝てるみたいに。もし、えりかと獄寺の仲がもっと深かったら……もしかしたら、獄寺は爆発の中残ってたかもしれない。ウチ心配し過ぎてる?

「それに、あたし達がここに存在することはどうにも避けられない。なら歪んだ部分を修正していかない?出来るはずだよ」
「修正?」
「そう。だからあたしは沢田君の守護者になること決めたよ」
「…そっか。じゃあやるしか無いね。その賭け乗ってあげるよ」
「心強いよアイラブユー」
「それでは次の対戦カードを発表します。明晩の勝負は」

風の守護者の勝負です。

prev / next


[ top ]



×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -