その答えに触れて | ナノ


▼ 20.牛柄のパジャマ似合ってますね

「うぎゃあああ!!!」
「お兄さんのパンチが…決まった!!」
「う、嘘よぉ!メタル・二ーが砕かれるなんて!」

「勝負はあったね。ルッスーリアにはもうあのパンチを防ぐ術はない」
「笑かすよなあのヘンタイ」

これはすべて原作の通り。これからルッスーリアには然るべき判断が下される。それについて咎める事はしない。

「わたしはヴァリアーよっ!片足だって勝ってみせるわ!楽勝よ!おほほっ!さぁいくわよ!続けるわよ!早く!」
「!?なにをあせっているのだ…」

だってヴァリアーとウチの極道はよく似ている。失敗や脱退を許さない。幹部とて失敗すればそれまでである。その穴はすぐに誰かが埋める。信頼を失った者は組織には必要ない。ルッスーリアの体から血が飛び散る。

「やる時はやる。さすがボスの補佐だねゴーラ・モスカ」
「あいつ……味方を!」
「弱者は消す。これがヴァリアーが常に最強部隊である所以の一つだ。ルッスーリアはそれに恐怖して動揺していたんだ」
「弱者は……消す……?そ……そんな…」

「たった今、ルッスーリアは戦闘不能とみなされました。よって晴れのリング争奪戦は笹川了平の勝利です」
「今宵の勝負はこれで終わりますが、今回より決戦後に次回の対戦カードを発表します。」

明晩の対戦は……雷の守護者同士の対決です。


「ああああ!!!もぉーいやだ!たまんないよ!また修行始まるみたいだし!毎日あんな恐ろしい勝負!」

……綱吉君が荒ぶっている。先にお風呂をいただいたウチは彼がお風呂から上がるのをリビングで待っていた。しかし綱吉君…余程ストレスが溜まっているようだ。フラストレーションぶっちぎりだ。少し可哀想になってくる。こんな時、同じくボスのえりかがいたらなあ…。

「おや。あなたは……」
「……」

大人ランボ。ランボである。ランボ。漏れなく10年後。牛柄のパジャマを着てマグカップ片手に。なんの前触れもなく現れた。彼は閉じた片目をぱちりと開いた。

「若きもえさん、初めまして。」
「はぁ…どうもこんばんは。初めまして」

ウチのことを知ってるのか。いや、一応いま一緒に住まわせて貰ってるけど。

「子どもの俺が世話になってます。ランボです。10年後の。」
「いや、まぁなんとなくわかります」
「今も昔も変わらず凛とした御方だ。」
「いや、今風呂上りですっごいだらけてるんですけどね。」
「お久しぶりです若きボンゴレ」
「大人ランボ!!ともえ!?すっげー変な組み合わせ!な…何してんの!?」

綱吉君、風呂から上がったらしい。おお、髪の毛すげえ。無重力すげえ。


「おーい、そろそろ寝よーぜ」
「あ、うん」

晴れの戦いの後、山本と家に帰ってお風呂入ってお互いダラダラしてたのだけれどそろそろ寝るみたい。読んでいたマガジンを元の場所に戻して端っこに畳んで置いていた布団をズルズルと敷く。山本が「よいしょー」なんて掛け声で当然の如く隣に布団を敷くのはまだ慣れない。ばふん。埃立つ。少し雑な感じがさすが男の子。

「あ。雨」
「ん?」

雲行きが悪いと思ったら…。雨か……。原作の通り、明日はランボで雷の戦い。そこで綱吉君は割って入ってザンザスに大空のリングが渡る…。そこまではそのとおりになる筈…。

「明日もどっか行くのか?」
「え?あ…うん。あたしもね、このリング貰ってから、考えて……自分なりに修行してる」

すべては、大切な貴方を守るため。

「だって、あたし達も守護者なんて言われちゃったんだもん。やるって決めたらやんなきゃ」
「…あのさ、お前いくら強いったって、女子だから無理に戦わなくてもいいんだぜ?」
「無理にじゃないよ。」

あたし達のせいで歪むストーリーを、何が何でも修正する。フラグのへし折りである。こうして話しているだけで幸せ。本当に、幸せ。だからこそ守らなければ。じっとしてても元の世界には帰れない。じっとしてても守れない。せめて自分達の落とし前くらいは自分達でつけなきゃ。

「言ったでしょ。こう見えてもあたし、ボスなんだよ。」

あんまり女の子扱いされると、それすら忘れそうになるから。

「少なくとも沢田君達に比べれば全身浸かってる。大丈夫大丈夫。」
「俺、そういうこと言ってるんじゃねーよ。単に、」

心配してるだけ。…なんて。素直な大きい目に見返されてあたしの手が右往左往する。動揺した。こんな感情、向けられたことなんてない。どうしよう、どうしよう。嬉しい、とっても嬉しいんだけどそんな自分が気持ち悪い。俯いてなんとか髪の毛で顔を隠した。あっぶない。またあたしの乙女モードがっ…!

「そだ。明日神社行かねぇ?」
「神社?」
「俺試合あるときいつも並盛の神社行って必勝祈願してくんだけどさ、それが効果絶大ってな!ランボの事ツナも心配してたから、一緒にどうだ?」
「い、行く!行きます!」
「ははっ!オッケー!」

この笑顔の為に、いまなら死ねます。グッジョブナイスエンジェルスマイル。

「んじゃ電気消すのな。」
「うん」
「おやすみー」
「おやすみ」

…………。……。え、山本寝るのはやっ。


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