その答えに触れて | ナノ


▼ 19.燃える晴天

リング争奪戦。それは沢田君達を本格的にマフィア界へと半身を浸からせた。今の今までずっと一般人。あたし達とは違くて。だからこそ仲間の為に戦える沢田君は本当にすごいと思う。あたしは何の為にやってるんだろう。一族の為か、自分の為か。

「ありがとうございました!また明日!」
「もう来んなー!」
「ばいばい紅林」

黒曜の四人に手を振り黒曜を後にする。あたしの記憶が間違ってなかったら恐らく今日は晴れの対戦で…もし、あたしともえが加わった事で…まさか対戦カードがバラバラになるなんてことは…。

「というか…あたし達にリングが渡されたって事は向こうも、」

ヴァリアーも風と雪の守護者がいるってことになるんじゃ…?

「あっ、バス乗らなきゃ間に合わない!」

もしそうであったのなら…それはおかしいことになるのではないだろうか?だって実際問題、原作に2つのリングの存在自体ないのだ。ボンゴレリングの均衡すら崩す、とんでもない内容じゃないか?

「…晴れの戦い…内容が変わってしまったら…あたしともえで軌道修正は可能なのかな…」

あたしともえの2人ぽっちで、本当になにが変わるのかなんてわからないけど。でもそうなったら、なにがなんでも元に戻さなきゃ。だってあたし達の所為なんだから。…山本を守るって決めたんだから。

「決めたんでしょ…あたし」

このリングを受け取ることを。沢田君の力になる事を。



「了平ー!ファイッオー!!」

体育会系野郎2人の声しか聞こえない。がっしりと組まされた肩がもげそう。初戦の対戦カードは晴れ。京子ちゃんのお兄さんの笹川兄である。同じく笹川兄の隣で肩を組まされたえりかの顔も陸に上がった魚みたいな顔をしている。ぶさいくな顔しないでほしい。それを見たさらに隣の獄寺の顔もぶさいくだ。イケメンのくせに。

「よーし極限力が漲ってきたぞー!!」

晴れの勝負の為に設けた特設ステージは格闘競技のリング。笹川兄にぴったりのステージだ。

「このルッスーリアが立ち技最強のムエタイで遊んであげる」
「やはりヴァリアーも晴れの守護者は格闘家か。歴代のファミリーを見ても晴れの守護者はみな強力な拳や足を持っていた。」

ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き明るく照らす日輪となる。それが晴れの守護者の使命。勝負開始の合図とともに周りが直視できないほど眩しい電光に覆われた。目が潰れるかと思った。えりかは直撃したらしい。顔がのっぺらぼうである。腹抱えて笑ってやったら鳩尾に食らった。ひどい女である。

「この特設リングは晴れの守護者の決戦にふさわしく設計された疑似太陽により照らしだされる日輪のコロシアムなのです」
「お兄さんにもサングラスを!」
「勝負中、守護者との接触は認められません。もし行えば失格しリングを没収します」
「そんな…!」
「キタネーぞ!!」
「ケチ!!」

ルッスーリアのパンチを受けて笹川兄の体がリングのロープにめり込む。その瞬間笹川兄の呻き声と共に煙があがった。

「ロープは電熱の鉄線で何百度にも熱せられています」
「めちゃくちゃだよ!!」
「ぐあああああっ!!」
「晴れの守護者として逆境を跳ね返してみせたのよん。私の左足は鋼鉄が埋め込まれたメタル・ニーなの。もうあなたの拳は使い物にならないわ。」
「やべーのはそれだけじゃねーぞ。了平の奴ライトの熱にやられて脱水症状が始まってる」
「そんな…!!このままじゃ…!!」

「立てコラ!!そろそろ頃合いだぜ」
「コロネロ!!」
「お前の本当の力を見せてやれ了平!!」
「コロネロ…師匠…!!その言葉を待っていたぞ!!」

笹川兄の逆境の跳ね返しは右拳。実際見たことはないけど、気が伝わってくる。綱吉君が息を呑む。笹川兄は、見切った。

「極限太陽!!!」

照明がバラバラとリングに落ちる。これでイーブンだ。やっぱり生で見ると違う。普通自分の体から出た塩の結晶を照明に打ち当てることが出来ようか。並みの人間じゃない。きっとウチらの学校に来たら舎弟ができる。

「お兄ちゃん……?」
「きょ…京子ちゃん!?な、なんでココにー!?」
「娘さんたちがコロネロを探していたんでエスコートしたんだ」
「父さん!」

一般人を連れてくるなんて正気か。綱吉君のお父さんを知らず知らず見つめていたんだろう、目が合って二カッと笑われた。瞬時に逸らした。

「お兄ちゃんやめて!喧嘩はしないって約束したのに!」
「!?」

ふ、普通の喧嘩だと思ってる!!ドンパチだと思ってる!綱吉君とウチの顔は同じで口が開きっぱだ。京子ちゃんマジか!

「……あぁ、確かに額を割られた時…もう喧嘩はしないと約束した…だがこうも言ったはずだ……負けんと…!!!みさらせ!!これが本当の!」

極限!!太陽!!!!

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