その答えに触れて | ナノ


▼ 16.浮世離れ

「クフフ。楽しいですね」
「幻術とは非現実甚だしいな」
「貴方の存在も非現実甚だしいじゃありませんか。」

浮世離れ同士、仲良くしませんか?

「あの日…球場で貴方達を見ました。どうも貴方1人だけ妙な気配だったので気になってはいたのです」

ドシュ。蓮の花が切り落とされ、床にぼたりと落ちる。刀身に赤みを帯びた刀の切れ味は落ちない。

「接触してみれば…おやおや、随分高貴な方がいたものです。」
「おまえ、外道」
「褒め言葉ですよ。さて、これだけ貴方を楽しませたんだ。そろそろ教えてくれてもいいでしょう?」

暫く黙り込んだがやがて鼻で笑うように言葉をゆっくり吐いた。

「私の名は紅鬼刀。」

刀を剥いた時のみ所持者に宿る小さな存在。

「付喪神…のようなものでしょうか?」
「もっと小さな存在。…そう、他人の中に寄生する事しか出来ないおまえのよう」
「おやおや、僕の本体は色々ありまして、今はクロームの身体を借りているんです。これだけ姿を見せているのですから良い方でしょう」
「そう、姿を現せるだけまし。」

刀を一払いしてから鞘に刀を納め始める。

「次にはそのツラ…見たくないな」
「随分と嫌われたものです。」

嗚呼、僕も時間のようだ。



「ここからは俺が取り仕切らせて貰う」
「と…父さん!?」
「家光…」
「門外顧問。それが家光のボンゴレでの役職だ。」

ボンゴレであってボンゴレでないもの。平常時には部外者でありながらファミリーの非常時においてボスに次ぐ権利を発動できる実質No.2。そして門外顧問は後継者選びにおいてボスと対等の決定権を持っている。つまりボンゴレリングの半分であるハーフボンゴレリングを後継者に授けられる権限だ。

「言わなかったか?7種類あるハーフボンゴレリングはそれだけではただのカケラに過ぎねーんだ」

対となる2つが揃ってはじめて後継者の証であるボンゴレリングになるんだぞ。

「それでこんな変な形なんだ」
「逆に言えば2つ揃わなけりゃ後継者にはなれねーんだ」

ボスと門外顧問が別々の後継者を選ぶなんて滅多にあることじゃないけどな。

「沢田殿。9代目からの勅命です」
「ちょくめい…?…!死ぬ気の炎!?」

『今まで自分は後継者に相応しいのは家光の息子である沢田綱吉だと考えてそのように仕向けてきた。だが最近死期が近いせいか私の直感は冴え渡り、他により相応しい後継者を見つけるに至った。我が息子ザンザスである。彼こそが真に10代目に相応しい。だがこの変更に不服な者もいるだろう。現に家光はザンザスへのリングの継承を拒んだ。かといって私はファミリー同士の無益な抗争に突入することを望まない。そこで皆が納得するボンゴレ公認の決闘をここに開始する』

「……つまりこーゆうこった…同じ種類のリングを持つ者同士の、一対一のガチンコ勝負!」
「同じリングを持つ者同士の、ガチンコ勝負ー!!!?」
「そして、もう1つ。お前達に伝える事がある。」

7種類のリング、ボンゴレリングにはあと2つあるのを知っているな?

「え?リボーンは7種類って」
「お前が途中で逃げやがったから説明し損ねたんだぞ。」
「そのリングは適正者が現れなかった為、今の今まであるべき場所に納められて来たんだ。だが今回、適正者が見つかった」



「…ん、」

あれ…あたし寝てた?いつ寝落ちちゃったんだろ…あー寒い。

「…髑髏さん?あれ?」

…ひょっとしてあたし、夢見てた?ん?もう何が本当でなにが夢なんだ?って、バス!絶対乗り過ごしたでしょ!暗いもん!やばい!剛さん待ってるのに!早く帰ろ!体を起こした瞬間ポケットがガサッと音を立てた。

「…?なにこれ。麦チョコ?」

…多分、夢じゃないらしい。ということはあたし負けたのかな?でもあんまし怪我してないし…もっと骨折とかしてるのかと思ったけど。

「おー、こんな所に居たのか。」
「…えーと…あ、沢田君のパパさん」
「どした、廃墟なんかに」
「…なんででしょう…」
「山本がえらく心配してたぞ。」
「!そ、そうなんです!早く帰らなきゃ!」

やっぱ迷惑かけてたー!もうだめだ、死んで詫びよ…。

「お嬢ちゃん。ほい!」
「え?…なんですかこれ」
「雪のリングだ。お前にはボンゴレ10代目候補、沢田綱吉の雪の守護者になって貰いたい」


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