17
城の外は白い景色が広がっている。日本では、まだないだろうそれ。
もうすぐ、クリスマスだ。キリスト生誕の日。そして、私の誕生日。
「かわいそうに」
今はセブルスさんの授業、魔法薬だ。そんな中、ドラコの声がした。
「家に帰ってくるなと言われて、クリスマスなのにホグワーツに居残る子がいるんだね」
ドラコはハリーを横目で見ながら言った。
「あら、ドラコ。私も帰る家がないけど何か?」
「え、あ、僕はFirst nameに言ったんじゃ……」
「ふーん」
失言に気付いたドラコが慌てる中、私は目を伏せてそっぽを向いた。内心はニヤニヤして仕方が無い。ドラコを苛めるのは楽しい。
私もハリー同様マクゴナガル先生がクリスマスに寮に残る生徒のリストを作った時、真っ先に名前を書きに行った一人だった。別にどおってことない。家がないのは事実なのだから。
魔法薬の授業を終えるとハリーが寄って来た。
「First name、さっきはありがとう」
「いーえ」
クリスマスのご馳走について話しをしていれば、大きな樅の木を担いだハグリッドが現れた。
「やぁ、ハグリッド、手伝おうか」
ロンが枝の間から顔を突き出してハグリッドに尋ねれば、何処からともなく嫌味な声が聞こえてきた。
「すみませんが、そこをどいてもらいませんか」
ドラコ再び登場。
「First name」
「ん?」
「さっきは、すまない。その、父上がクリスマスにFirst nameを招待したいと言っていたんだが」
「え、ルシウスさんが?」
「あぁ、来るだろう?ハグリッドの小屋が宮殿に見えるようなウィーズリーの家と違って、僕の家は本物の宮殿よりも凄いんだ」
こらこらドラコ、さり気なく喧嘩売るでない。
ほら、ロンが怒っちゃったじゃんか。
ロンがドラコの胸倉を掴んだ時、何故か弄っとした私が行動に移す前に低い声が聞こえてきた。
「ウィーズリー!」
セブルス・スネイプだ。あの日以来の接近に体は勝手に反応する。肩のレイに部屋に戻るように囁けば、一瞬戸惑ったのか、でもすぐに飛んで行った。
ハグリッドが庇ったのも虚しく、スネイプはバッサリと切り捨てグリフィンドールを五点減点した。
ニヤニヤしながら去ってくドラコと腰巾着、二匹。
「ドラコ!ルシウスさんには悪いけど、先約がいるからごめんなさいって伝えといて!」
叫びながら両脇にいたロンとハリーに腕を絡ませた。
ドラコの顔ときたら笑える。
白い顔をさらに蒼白にしたと思ったら今度は真っ赤にして走って行ってしまった。
「見た?ハリー、ロン、ハーマイオニー、今のドラコの顔」
私は笑いを噛み締めながら三人に言う。
誰からともなく、笑い声を上げ私たちはハグリッドが止めるまで、その場で笑い続けた。
ドラコ、可愛い。
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