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うっ、まずい。

ハグリッドが淹れてくれた紅茶は、いつだったかセブルスさんが淹れてくれた紅茶とは天と地の差があるほどお世辞にも美味しくなかった。濃すぎて、ある意味ハグリッドの性格が出ていたようだ。


「スネイプだったんだよ」


ロンがハリーに説明をしている間、私はハグリッドの小屋の中を見渡していた。

セブルスさんの部屋やダンブルドア校長の部屋も変な物だらけだったが、ハグリッドの小屋も負けず劣らずだ。


「バカな」


ハグリッドの少し大きな声に私は会話に引き戻された。


「なんでスネイプがそんなことする必要があるんだ?」


そーだそーだー。もっと言えハグリッド。

心の中でハグリッドに声援を送っていたら、三人は顔を見合わせてチラリと私を見た。


「あー、私退席しましょうか?」


不味いながらも啜っていた紅茶のカップを置いて、腰を浮かせた。しかし、ハーマイオニーがそれを制止する。


「待って、First name。ハリー、First nameにも言いましょう?彼女なら大丈夫よ」

「うん」


ロンがちょっと嫌な顔をしたのは見ぬ振りをして、浮かせていた腰を下ろす。これで私も彼らと秘密の共有者だ。吉とでるか凶とでるか、賽を振らない私はそれを知らない。


「僕、スネイプについて知っていることがあるんだ。あいつ、ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ。何か知らないけど、あの犬が守っているものをスネイプが盗ろうとしたんじゃないかと思うんだ」


思い込み炸裂だなって、呆れていたらハグリッドがティーポットを落とした。あからさまな動揺に毒づく。

馬鹿。


「なんでフラッフィーを知っているんだ?」


知ってはいたけど、頭が痛くなってきた。挙げ句の果てには……。


「あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの……」



なんて失言。やっぱり馬鹿だ。トムに利用されても仕方がない。だって、馬鹿だから。

ハリー達がルンルン気分で出て行く背中を見送って、腕組しながらハグリッドを見据えた。

どうやら、まだ自分に腹を立てているらしい。


「ねぇ、ハグリッド」

「あ?お前さんまだ居たのか?」


えぇ、居ましたとも。


「ハグリッドって頭の中も巨人なんだね」

「なっ!」

「好奇心旺盛なお子様達と話すなら、言葉に気を付けなきゃね」

「お前さんは……」

「あれ、ダンブルドア校長に聞いてない?」


訝しげに私を見るハグリッドは知らないらしい。私が異世界から来たことも、私が実は十七歳であることも。

わざわざ教えてあげることじゃない。そんなに私は優しくない。


「あ、私もハグリッドの意見に賛成だから」

「ん?」

「まったく、安易にも程があるよね。もっと広い視野で見ろっつーの。固定観念て怖いわー。じゃ、ハグリッドまたね。あ、紅茶ありがとう。私的にはもうちょっと薄い方が好きだな。あ、あとお酒の飲み過ぎは駄目だよ」

「あ、あぁ」


言いたいことを全て告げ、私は城へと戻って行った。

レイ、起きてるかな?

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