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空を自由自在に飛ぶ彼らは速すぎて目で追うのは難しかった。リー・ジョーダンの声でグリフィンドールが先取点を取ったのが分かった。
「やったぁあああ!」
柄にもなくハーマイオニーと抱き合って喜んでいると、急に圧迫感が。
「ちょいと詰めてくれや」
圧迫感の正体は巨体が割り込んできたためだった。一度、入学式の日に遠目で見かけたけど、間近で見た大きさは半端ない。
でかっ。の一言に尽きる。
「やぁ、ハグリッド。噂以上の巨人だね」
私が言えば、巨人というフレーズに引っ掛かったのか、もじゃもじゃの眉を寄せて私を見た。
「お前さん、Family nameだな?こっちこそお前さんの噂はダンブルドアから聞いちょる」
「あはは、それはそれは」
突然火花を散らし始めた私とハグリッドに、ハーマイオニーが試合そっちのけで訳がわからないという顔をした。
巡るめく、試合は進んでいく。広いグランドを右へ左へと、明日は首が疲れるに違いない。
リー・ジョーダンのふざけた解説に隣にいるのであろうマクゴナガル教授の怒鳴る声がマイクを通してグランドに響き渡る。それが面白くて面白くてまたお腹を抱えて笑った。
あぁ、そういえば紙の上でも私は笑っていたな。
「一体、ハリーは何をしとるんだ」
ハグリッドの言葉に、ハッと笑みを消してハリーの姿を探す。
「あ、ハリー……」
それは、クィディッチが想像以上に心を揺さぶるスポーツだったのと同じように、それは、想像以上にゾッとする光景だった。
身震いする体を抱き締めてハリーの姿から目が離せない。離してしまった瞬間、最悪な結末になりそうで。
あぁ、セブルスさん、どうか……。
思わず懇願してしまった。
「スネイプよ」
ハーマイオニーが言った。私は、とうとうハリーから目を逸らしてしまう。それは違うと言ってしまいそうな自分を、ぐっと抑えた。
「何かしてる。箒に呪いをかけてる」
「僕たち、どうすりゃ良いんだ?」
あわあわとハリーを見つめながらロンが言った。
「私に任せて」
意気揚々と行ってしまったハーマイオニー。その背中を呼び止めることなんてできなかった。
「あいつ、どこ行ったんだ?」
首を傾げるロンに「さぁ?」としか言えず、私は再び危ういハリーに視線を戻した。まだ落ちていないことに、少なからず安堵して。
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