12
ベッドの中で指を絡めながらレイの鼓動に耳を添える。私の何倍も大きくて、それでいて繊細な指が私の髪を梳くように撫でていた。
「明日、クィディッチの試合なんだって」
「……」
「寒い中よくやるよね」
「……」
「ハーマイオニーに応援に行こうって誘われちゃった。寒いからやなのに」
「……」
「ねぇ、レイはクィディッチやったこと……レイ?」
不意に彼の手が止まり、不思議に思った私は顔を挙げるとそこには辛そうに顔を歪めた彼がいた。
「どうしたの?ごめんなさい、私、何か気に障ること言った?」
それは辛そうで辛そうで、そんな顔をさせてしまった自分が許せなくて、私は壊れたラジオのように何度も謝った。
ようやく戻ってきた彼は重たそうに瞼をあげて、その金色の瞳で真っ直ぐと見据えた。
「First name、君が謝ることはない」
「でも!」
口元を緩めていても、彼の瞳は辛いと叫んでいるじゃないか。
「クィディッチ、やっぱり行かないわ」
きっと、彼をこんなに傷付けたのはそれだ。私にはそれしか思い浮かばなかったから。
「そんなことを言うな」
「え」
「クィディッチは、楽しいから」
あぁ、そんな切なそうに言わないで。
あぁ、そんな悔しいそうに言わないで。
あぁ、……そんな愛おしそうに、言わないでよ。
彼に糸惜しまれるクィディッチが、嫌いになりそうだ。
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