×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
05

ハーマイオニーの悲鳴が木霊する。私は鷹の姿に戻ったレイを抱えながら廊下の隅で座り込んでいた。

高い高い天井を見上げながら、綺麗な装飾だななんて思って耳を傾ける。

何かが壊される音、鈍くぶつかる音、それに混じる悲鳴。耳を塞ぎたくなる音にも関わらず、私は浮世離れした気持ちでただ腕の中の鷹の温もりを感じていた。

レイが鳴く。


「行かなくて良いのかって?」


金色の瞳を見つめながら可笑しそうに目を細める。


「レイは行きたいの?」


返事はない。


「そうね、私はどっちでも良いのかも」


ただそこで観てろっていわれたのよ。

だから、そうするだけ。

まるで他人事みたいな言い訳に自分でも分かってる。酷薄な奴だ。


「大丈夫、だってあの三人は神様に愛された子だもの」


だったら、私は神様に嫌われた子なのだろうか。否、嫌われる以前に私など……。

音が止んだ。覗き見れば丁度マクゴナガル教授を先頭にスネイプ教授、クィレル教授がトイレの中へ駆け込んでいた。


「あ、終わった」


気を抜いたのが悪かったのだろうか、不意に陰ったことに顔を挙げれば、半月眼鏡の奥に笑わない瞳を見つけた。


「何が終わったのじゃろうか」

「こんばんは、ダンブルドア校長」


グリンゴッツの鍵を貰ったのは、たった数ヶ月前の出来事なのに、あの頃のように笑えない自分に嗤った。


「お茶でもどうじゃ?」

「喜んで」


今宵、彼らは友情を手に入れた。
だったら、私は何を失ったのだろう。

[ 73/125 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[]