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06

まるで見世物小屋のライオンだった。

私を掴むその手は、手首から腕に変わり文字通り連行されていた。刺さる数え切れない視線から逃れるようにひたすら地面を睨みつける。

腕を引く黒い人が、取り巻きたちに怒鳴るが全く効き目がないようだ。

先生の言うことはきけよ、と内心毒吐く。

そう、私を今物珍しげに見ている数々の視線の持ち主は、ここの生徒。つまりはホグワーツ生だ。ちらりと見た制服は間違えなかった。

そして、今。

真っ白な長い顎髭を撫でながら、半月眼鏡の奥にある粒らな瞳が好奇心剥き出しに私を見つめている。

不信感一つない目に、それで良いのかと突っ込みたくなるぐらいの純粋な目に、先ほどとは別の意味で後退した。

アルバス・ダンブルドア。知っていた通りの人物らしい。

こちらも何やら問うているが、残念ながら英語の成績は平均よりちょっと下。だが、本場の英語なんて学校の成績が良くたってわからなかったに違いない。だから、隣でさっさと答えろと無言の圧力をかけるのはよしてくれ。


「ひっ!」


不意に木の棒を突き付けられた。杖だ。アルバス・ダンブルドアの皺皺の手が持つ杖が真っ直ぐと自分に向けられている。

背筋に悪寒が走った。

私は、よくよく考えれば間違いだと分かるはずなのに、そんな余裕さえなく隣に立つ黒い人にしがみついてしまった。

許してほしい。突然、杖を突き付けられれば誰だってこんなもんだ。


「ほれ、お嬢さん。怖がることはない。もう儂の言葉が分かるじゃろう?」

「え」


初めての魔法体験は、それはそれは恐ろしく、それでいて素晴らしいものだった。

魔法すげー。

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