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空は晴天。いや、知ってたさ。天候さえ知ってるなんて、もはや神!
なんて一人マヌケ面で空を見上げていたら重要なことに気付く。杖は買えたし、駅のゲートは通れたけど、箒には乗れるのだろうか?
現にマクゴナガル教授の授業でマッチを針に変えるなんて人間業から懸け離れた行為はできなかった。発火させてしまっただけ。だってマッチだもの。
そこで問いたい。何故、王道らしく最強魔女っ子じゃないのだ、私。何処かの誰かに文句を言っていれば、どうやら授業が始まるらしい。
「なにをボヤボヤしてるんですか」
颯爽と登場したのはマダム・フーチ。おっほ、かっこいい。
「みんな箒のそばに立って。さぁ、早く」
私は自分の傍に置かれている箒を見下ろして途端に不安になった。
おいおい、こんな枝毛だらけの箒で飛べるのかよ。
「右手を箒の上に突き出して。そして『上がれ!』と言う」
マダム・フーチの掛け声で一斉に「上がれ!」と叫びだす。一歩遅れて私も半信半疑で言ってみた。
「……上がれ」
「……」
箒はピクリともしない。まぁ、予想はしてましたけどね。苦笑しながらハリーとドラコを見れば、しっかり箒を手に収めていた。
わおっ、さっすが。
私はもう一度自分の足元で転がっている箒を見下ろし言ってみる。さっきよりも少し大きめな声で。
「上がれっ」
「……」
ははーん、そうゆう態度ですか。
周りも上がり始めた中、まだピクリともしない箒にさすがに、かちんと。
「さっさと上がれ、こら。燃やすぞ」
箒が綺麗に手にフィットした。
「何だ、分かるじゃーん」
私の黒い心の声を聞いてしまったネビルが怯えているのも知らずに、私は満足気に笑った。
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