12
朝食、今日は初めての箒の授業があるから皆浮き足立ってみえた。一方、私はその時起こるだろうビックイベントに、頭を悩ましていた。
ふと、若い衆が何やら盛り上がっている。何だなんだと覗けば、ネビルの手に赤い玉が。
「へぇ、思い出し玉って本当に赤くなるんだね」
私はネビルが持つ真っ赤に染まっている玉を顔を近付けて見つめた。
すごいなー。どうゆう、仕掛けなんだろう。あ、魔法だから仕掛けも何もないのか。
一人で納得していると、突然目の前から玉が消えた。
うわっ、魔法!?って、違うか。
「あ」
ハリーとロンが、はじけるように立ち上がったので私も顔だけ見上げると彼がいた。
「ドラコだ」
嬉しそうにへらっと笑う私に何やら厳しい視線が突き刺さる。
いてっ、いてっ。
「やぁ、First name。怪我はもういいのか?」
「うん、もうすっかり。ねぇねぇ、それよりまだ私が思い出し玉見てたんだよー?」
「ふーん」
え、ひどい。
あ、あれか?グリフィンドール生たちの前だからってデレられないのか?ツンだけなのか?ツンだけでも萌ゆるけども、デレがないツンは、ちょっと厄介だ。
「ドラコ」
渡してと手を出してもひょいっと腕を高く上げてしまう。にゃろう。
「いいもーん。ルシウスさんに言い付けるからー」
「な!お、お前、父上には……」
私は近くにあったナプキンにささっと書いて折り畳んだ。
「レイ、お願いね」
ことの次第を聞いていたレイはすぐに羽根を羽ばたかせる。
「へへーん、どーだ!ざまーみろ!私に意地悪するからだもんね」
愕然としているドラコに私は満足感いっぱいの笑みを浮かべてマクゴナガル教授と入れ違いに席を離れた。
「ちょっ!First name、待って!!」
必死に追い掛けてくるドラコは可愛い。
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