08
燃えるような背中の熱さで目が覚めた。
「あ、あ、……ッ」
「ミスFamily name、大丈夫ですよ。傷は残らないように治療しますからね。もうしばらくよ辛抱です。ゆっくりお休み」
マダム・ポンフリーがゆっくりと水を飲ませてくれる。潤った唇、口内、喉、そのまま流れるような体の中に染み渡っていく。少し痛みが引いた気がして、また気を失った。
次に目が覚めた時、焼けるような痛みは少しも残っていなくて、清々しささえ感じてしまう目覚めだった。
「First name、気分はどうですか?」
「最高です、マクゴナガル教授。心配をおかけしました」
「……あ、いえ、良いのですよ。子供が大人を心配させるのは当たり前ですなら。もちろん、度が過ぎるのは困りますがね」
「ふふ、はい」
一番最初にお見舞いにきてくれたのは、なんとマクゴナガル教授。マダム曰く、私が正体を無くしている間、何人もお見舞いに来ていたらしいが、私が目を覚めて一番にお会いしたのが彼女なのだ。
「傷も残らないようなので安心しました」
「マダム・ポンフリーに掛かれば火傷ぐらい簡単なものでしょう。それにミス・Family name、いえFirst name、あなた女の子、背中に傷が残ったら……」
言葉を詰まらせたマクゴナガル教授に大袈裟だなと思うも、その優しさに胸がほわほわする。
「ありがとうございます」
「今回、あなたは友人を護るというグリフィンドール生に相応しい行動をとりました。あなたの勇気と友を想う優しさに、50点あげましょう」
「え」
「それでは、私から、無謀で軽率な行動に、20点減点しましょう」
「え!?」
喜びも束の間、ぶち壊す男が登場した。カーテンから現れたのはセブルスさん。
「セブルス、確かにあなたの考えも一理ありますね。First name、あまり無茶をしてはいけませんよ」
結局、マクゴナガルも説教して出ていった。ほんと、ぶち壊しだ。
「何ですかね?その目は。文句があるならどうぞ、その達者な口で言ったらどうだ?」
「別に……。この度は大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした」
迷惑を掛けたのは事実なので素直に謝れば、彼は驚いた顔をした。ほんと、失礼。
「何ですか。わざわざ、医務室まで運んで頂くというお手を煩わせてしまいましたし、これでも感謝を込めてるんですけど」
「いや、あれは……」
「え?」
「いや、何でもない。失礼する」
何だ、何だ、何だ。運んでくれた時は、すごく優しかったのに。
ふと自分の手を見下ろす。この手があの手に絡んだんだよね?
思い返せば、体が熱くなった。
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