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夢まで見た猫脚バスタブ。手首から滴るアネモネの涙をバスタブの縁に頭を凭れながら流れ落ちる涙を見つめていた。

あぁ、泣いてる。

次第に霞んでいく視界。朦朧とする意識。ふわふわする感覚に、あれ?疑問が浮かんだ。前にも、同じような……。

あぁ、駄目だ。思考がもう追いつかない。

重くなる瞼を支える力もなくて、逆らう気力もなくて、ただ赤を見切れるその瞬間まで見つめていた。

音もなくバスルームの扉が開いた。意識の端に見たヒトは烏の濡れ髪のような真っ暗な髪、それとは反対に金の鋭い瞳。

冷たい手に、そっと優しくバスタブから抱き上げられる。

あぁ、温かい。

黒い羽根が水面に舞い落ちたのを見た。

あぁ、悪魔だ。

悪魔の手ってこんなに冷たくて温かいんだ。

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