06
マルフォイ家とご挨拶。
「あ、はじめまして。First name・Family nameです。よ、よろしくお願いします」
「ふふ、ナルシッサよ。ごめんなさいね、ルシウスは少し強引なところがあるから」
少しじゃないだろと突っ込みたいところだが、ナルシッサさんの美しさに突っ込みなんてどこかに忘れてきた。
口元を隠しながら上品に微笑む姿は、まさに貴族のお嬢様。まいったなと満更でもない顔をしているルシウス。
あはは、見せつけてるんじゃねーよ。と内心毒吐いたのは秘密。
「父上」
今まで蚊帳の外だった少年が、耐えきれずルシウスのローブを引っ張った。ルシウスといえば、すっかり忘れていたらしく少し驚いた顔をする。そのくせ、悪かったとはこれっぽっちも思ってはいないらしく何食わぬ顔で息子の背中を押したのだ。
「紹介が遅れたな。こちらは、First name・Family name嬢。ホグワーツで教鞭を振るっているセブルス・スネイプ教授のお嬢さんだ」
「あら、そうだったの?」
お嬢さんて、何を言っているんだルッシー。マダムが勘違いしてしまってるじゃないか。
「正しくは、親のいない私の保護者になってくれている、ってだけです」
しかも、ダンブルドア校長が業務命令という職権を乱用して。あはは、と苦笑すればルシウスの言葉髪よりもキラキラと輝いている髪が。らプラチナブロンドの持ち主は……、
「僕はドラコ・マルフォイだ、よろしく」
「え、あ、よろしく」
親の前だからだろうか、それとも純粋にだろうか、どちらかは分からないけど、すっと出された手は受け取らねばならない。
「えっと、こちらこそよろしくお願いします」
おずおずと握れば思ったよりも大きくてびっくりした。私のフィルターを通して彼はまだまだ子どもだけど、それを見ている私自身も子どもだってことをすっかり忘れてしまうの。
「あ、あの!」
自分が彼と同い年だということを再確認した後は早かった。友達になりたい。
「仲良くして下さい!」
勢い良く頭を下げた私に、彼は目を丸くして一歩後ず去ったが、下手に出られるのはルシウス同様悪い気分じゃないらしく、一層胸を張ってニヒルに笑うのだった。
「あぁ」
この世界で最初の友達。
この世界で?じゃあ向こうの世界での最初の友達って誰だったかな。
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