01
コスプレ、だろうか。いや、どう見てもコスプレだろう。
私は姿見の前でホグワーツの制服を身に纏い思わず「うげっ」と吐き出した。ちょっとした好奇心で男子生徒用の制服を着た私は少年に変身。幼い頃はズボンばっかり着ていたいたのを懐かしく思う。
「レイ、どう?」
ちらっと箪笥の上の主に問いかければ目を細めただけで鳴きもせず、顔を背けてしまった。
「おい、何だその白けた態度は」
クールにもほどがあるなと再度鏡に向かう。
「どうしよう、これ」
首に引っ掛かったままのネクタイ。残念なことに高校はリボンだったためネクタイを結んだことがない。つまり結べない。
「まぁ、いっか」
適当にリボン結びしてローブを羽織った。
「ほら、おいでレイ」
腕を出せばレイは、すっと肩に止まる。
「わざわざ列車に乗りに行くなんて面倒だねぇ」
ダンブルドアが入学式ぐらいホグワーツ特急に乗ったらどうだなんて面倒な提案をしたばっかりに。私的にはゆっくり寝て新入生が着いたころ混じるつもりだったのに。
髪を整えて「よしっ」と可笑しな気合いを入れる。
「変じゃない変じゃない」
そもそも、ここに私がいることが可笑しいんだから、それ以上に変なことがあるもんか。少しぐらい可笑しくたってそんなもん気にすることじゃない。
「本当……、胸ぺちゃ」
たいして大きかったわけでもないが、何だか胸がぽっかり。せっかく女に生まれてあそこまで成長したというのに……。まぁ、生理がこないのは楽だけどね。
女として欠陥商品に成り下がった気がした。
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