13
リストを見直して、買い忘れはない。梟はちょっと惹かれたけど、レイがいれば必要ないだろうと店の前を素通りする。
「帰るぞ」
「はい、お願いします」
私はセブルスさんと付き添い姿くらましし、ホグワーツへと戻った。
「あぁ、戻ったのですね」
「マクゴナガル教授、ただいま戻りました」
「随分、早かったですね。買い忘れはありませんか?」
「はい、大丈夫だと思います」
マクゴナガル教授と他愛ない話を始めればセブルスさんは、マクゴナガル教授に軽く会釈し自室へと真っ直ぐ向かう。
「あ、えっと、マクゴナガル教授失礼します」
慌ててマクゴナガル教授に頭を下げて彼の後を追った。
さっかく買った紅茶。今のタイミングを逃したらきっと渡せないだろう。ポシェットをぎゅっと握り締めて足を速めた。
「今日はありがとうございました」
「何だね?これは」
「紅茶です」
「そういう意味で聞いたのではない」
だったらどういう意味だと首を傾げる。
「こんなもので私の君に対する監視の目が緩むとでも?」
別に、そんな理由じゃないけど、少しでも近付けたらなっていう下心がなかったわけじゃない。つまりは、図星に近いわかで、羞恥心という熱が身体中に湧き上がってきた。
恥ずかしい。
「ふん、浅薄」
「あ」
払われた手で紅茶の袋は手から落ちた。その衝撃で袋が開き、中の茶葉が零れてあの香りが立った。
「あー」
あーあ。これじゃあ、まるで愛を拒絶され散り落ちたとでも言うようじゃないか。
落ちた茶葉を手のひらに乗せ、フッと吹いた。
あの良い香りが無性に嫌な香りへと変わった。
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