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罪悪感、と表せば良いのだろうか。ウインドウの前に立つ少女は、フードを深く被っている所為で表情は見えない。だが、俯き、耐えるような姿勢に何故だか胸が騒ついた。
しばらく少女を観察していたが、彼女が顔を挙げきょろきょろと辺りを見渡し、また伏せた時、我に返り少女に近付いた。
予想以上に時間が掛かったしまったのは事実。普通の待ち合わせならば遅れた者が謝罪するべきだが……。
「……」
そんな言葉は必要ないだろう。
こいつは、怪しい奴。馴れ合う筋合いも気もない。監視のために自分が傍にいるだけだ。
「おい」
だが、自分の存在に気付いた彼女が無意識に自分に縋った姿は痛々しいと思ってしまった。
観察しすぐに近付かなかったことを後悔している自分を信じたくはなかった。
この得体の知れない少女が、自分の中に固く凍った氷を溶かすような存在であるなんて思いたくも、思いもしなかった。
ただ、戸惑う感情がさらに彼女を厳しい目で見てしまうことになったのは確実だ。
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