03
「それで?」
「あー、そのー……」
私は降り注ぐ威圧感に苛まれていた。部屋に戻るために必然的に通らなければならないセブルス・スネイプの自室。そろーっと横切るつもりが何故かこんなことに。
やはり予想通り腕組みしながら見下ろすセブルス・スネイプを私は肩を竦ませながら見上げている今現在。正直、セブルス・スネイプは嫌いじゃない。だけど紙の上で知っていたまんまのスネイプは現実ではちょっと厳しい。他人事ならば良いのだが、自分に降りかかるのは駄目ということだ。
「一緒に買い物に行っていただけますか?」
「何故、私がそんなことに付き合わねばならない」
「あ、それは、その、ダンブルドア先生が……」
「そんなことはどうでも良い」
どうでもって、だってダンブルドアがあなたと行けって言ったから。
「貴様が、はじめからここに来なければ良かったのでは?貴様が、入学の誘いを断れば良かったのでは?そもそも、私は貴様のことを信じてはいない」
こうもはっきり言ってくれると反対にすっきりする。
あぁ、この人にとって私は迷惑極まりないんだ。そりゃそうだ。
「しかし……」
「分かりました」
言葉を遮って私はセブルス・スネイプに背を向けた。
「一人で行きます」
ダイアゴン横丁ぐらい一人で行けるし。
彼の私の存在を否定する態度は悲しさ通り越して苛立った。だって、自分で好きに来たんじゃないのに。勝手にこうなっちゃったのに。
何も知らないのに、私のことなんて何も知らないのに、知ろうともしないのに。
なのに傷付けることしか出てこない彼に私は、悲しかった。
でも、そんなこと認めたくなくて私はその感情を苛立ちに変えた。
勢い良く閉めた箪笥の扉は、私の心のように軋んだ悲鳴を上げた。
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