19
閑散とした廊下。こんなに広かったかななんて思いながら歩くそこは、朽ちた古城のようで、主を失った城が寂しいと泣いているようだ。
「First name」
「何?レイ」
「どこかに行くのか?」
「うん」
見送りから戻って早々、荷造りを始めた私を彼はベッドで寝転びながら眺めていた。
レイに魔法をかけてもらったトランクは、四次元ポケットならぬ四次元トランクとなった。魔法って素晴らしい。着替えと大量に出された宿題を詰め込んで準備完了。
「レイ、おいで」
腕を差し出せば鷹になってということで、彼は黒翼を生えさせると鷹の姿に変容した。
「レイ、奇麗だね」
「……」
「さぁ、行こうか」
レイと共に私は普通の生徒達より遅れてホグワーツを去った。
第一巻『賢者の石』完結。
私は残された時間を知らない。
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