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物語は、あと数ページで終わる。それでも時間は原作通りに刻んでいく。
スリザリンが負け、グリフィンドールが勝利を納めた。その時のスネイプの顔ときたら思わず噴き出してしまったよ。どちらが勝とうが負けようがどうでも良いことだ。だけど取り合えず周りに合わせて狂喜乱舞しておいた。
「ハーマイオニー、やったね!」
隣で顔を伏せて嬉し泣きしている彼女の背を優しさもなく叩いた。
「First name、ありがとう!」
「うっ」
数倍苦しいハグで返されれば突然のように支えられず私達は仲良く崩れ落ちた。
ポカーンとした私達は、どちらからともなくクスクス笑い出し、次第に周りの歓声に負けず劣らずの笑い声を上げて抱き合った。
ダンブルドアが私のその姿を見て微笑み、マクゴナガルと共に胸をなで下ろしていたことなど知らず。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎる。さぁ、別れの夏が来た。
「じゃーね。ハリー、ロン、ハーマイオニー」
混み合う改札を抜けマグルの世界で別れを告げる。
「おっと、First name。僕らのことを忘れてやいませんか」
「それはないぜ、First name」
「三人共、気が向いたら手紙書くから」
ジョージとフレッドを聞き流して三人に言う。
「First nameー!」
揃って叫ばれてしまえば煩い煩い煩い。
「何だ双子、お前たちも俺様の手紙が欲しいのか?」
「欲しい!」
いや、二人してそんなに目を輝かされても。
「じゃ、じゃあ、便器にサイン入りで送ってやる」
「わぉ!聞いたか相棒!」
「聞いたぜ!相棒!」
「First name!君はなんて素晴らしいんだ!」
双子に埋もれ危うく窒息死しそうになった。それもまたご愛嬌?
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