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翌日、校内はざわついていた。嘘か本当か分からぬ噂に好奇心をのせて、少しの恐怖を隠して、少しの不安と安堵あを混ぜて。そうやって真実は上手に闇の中へと隠されていく。
誰がクィレルの死を嘆き、ヴォルデモートの消滅を悔やんでいるのだろうか。
「ご、ごめんね?」
「僕、君があんなに薄情な奴だなんて思わなかった」
談話室に降りれば、待ってましたとネビルが仁王立ちしながら私を睨んでいた。どうやらネビルは怒っているらしい。だが、忘れちゃいけない。私は既に君のピンチを二回も体を張って助けているのだよ。まぁ、そんなせこい事わざわざ言わないけどさ。
「ごめんって。私、反対呪文知らなかったんだよ」
「だからって……」
「じゃあ、ネビルは反対呪文知ってたの?私がもし何かの呪いかけられてたら助けられる?」
「………」
「ほーら、ネビルだって……」
「ど、努力する!」
にんまりと口元に弧を描いていた私はネビルの言葉に固まった。
あぁ、ほら、所詮、脇役は脇役ってことだろ?
「……First name?」
反応のない私に不思議そうに首を傾げるネビル。だから可愛くないって。
「………ありがとう」
私は、にっこり笑ってネビルに背を向けた。眩しくて眩しくて、目が潰れるかと思った。
あはは、努力だって。うける。
ねぇ、ネビル。この世には努力で補えないものが無限にあるんだよ。君がその現実を知るのはいったいいつだろうね。私は教えてあげないよ。だって、まだ十才そこらの子供が現実を知るのは酷だもんね。
あぁ、ネビルもそっちの人間だっけ?
努力なんて嫌い。
所詮、全ては運と生まれもった才能で決まるんだから。
何て、つまらない世界なんだろう。
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