07
試験が終わった時の解放感はどこの世界でも同じなんだなと私は太陽に向かって伸びをした。
レイが上空で羽を広げているのを羨ましげに見つめながら当てもなく歩いていればいつの間にか湖の近くまで来ていた。
「First nameー!」
綺麗に重なる声に姿など見ずも誰だかなんて想像がつく。面倒なのに見つかったなと息を零しながら振り向けば、そこには想像通り手を振る双子とその隣にしゃがむリー・ジョーダンがいた。
レイに降りておいでと合図して彼らの元へと足を向ける。
「こんにちは、フレッド、ジョージ、リー」
「やぁ、テストお疲れ様。Family name」
爽やかに笑うリーには失礼だが視線はその頭にいってしまう。いつ見てもリーのドレッドは凄いな。
「で、何してんの?」
「見てわからないかい?」
分かるともさ、ジョージくん。だが、しかしそこはあえて聞かせ頂こうじゃないか。
「大イカの足なんかくすぐって楽しい?」
「もちろん!」
満面の笑み御馳走様っす、フレッド。ぜひ、今のベストショットを物にしたかった。君たちのファンに売れただろうよ。
「まぁ、多少のスリルはあるかな」
そんな君だから双子と一緒にいられるんだね、リー。双子の保護者役だと思っていたのは私の間違いだったようだ。君は立派な悪友さ。
「そんなことより、First name」
ジョージの顔が険しくなった。
「最近、一人に見えるけど」
どきりと心臓が跳ねる。よく見てるなジョージ。さすがジョージ。
「ロン達と喧嘩でもしたのかい?」
「喧嘩なんかしてないよ?」
素知らぬ顔でジョージの視線から背を向けて、レイの羽をそっと撫でた。彼は応えるように耳朶を甘噛みする。それがくすぐったくて気持ち良くて、そのままとろけてしまいたくなった。
不意にレイが啼いた。
「レイ?」
レイの視線の先を追えば、校庭を凄い勢いで横切り森に向かっている三人の影があった。
あー、そうか。今日だったんだ。すっかり忘れてたよ。
いよいよ、私も決断しなければならないのだろうか。
あはは、何を?
[ 112/125 ][*prev] [next#]
[目次]
[栞]