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01

まぁ、見慣れればそんなに違和感はないか。元々、この時期だってあったんだから。

大きめのシャツを身に纏った姿を鏡で改めて見つめてる。袖口を摘まんだまま両手を広げてくるりと一回転。

それにしても、お肌の艶加減半端ないな。やっぱ若さだね。

うんうんと一人頷きながら納得している姿はちょっと恥かしい人だったに違いない。ダンブルドアが魔法で出した姿見に映った自分の姿を見た時はさすがに動揺したけど、人間の順応性って素晴らしいね。

しいて言うならば、平らな胸がなんとも名残惜しいぐらいだ。ぺたんこな胸を見下ろして何度目かの溜息をついた。

そんなこんなで鏡と仲良しこよししていたら、部屋の窓に何かが当たる音がした。それはもう聞き慣れた音で私は浮き浮きした気分で窓に駆け寄った。


「レイ、おかえり」


背伸びをして両開きの窓を開ければ勢い良く入ってきた、黒い鷹。そのままベッドの上にぽとりと手紙を落とすと、定位置となっている箪笥の上で早々に羽を休め始めた。


「お手紙ありがとう。ほれ、ご褒美だい」


クッキーを放れば器用に嘴で咥えて満足そうに頬張りだす。レイはクールな鷹だ。いつも私をその鋭い目で冷めた視線を送ってくる。でも、私がぼーっと窓の外を眺めたりしてると何を思ったかスーッと近寄ってきて肩に乗り優しく耳朶を甘噛みしてくる。

ちょっと肩は重いし、甘噛みも微かに痛みが走るけど、それが何とも言えない嬉しさに変わる。


「お、ダンブルドアからお茶のお誘いだ。レイも行く?」


羊皮紙には細い字で「美味しいお茶菓子が届いたのでお茶でもとうですか? アルバス・ダンブルドア」と丁寧に書かれていた。

魔法を掛けられた日から言葉をだけでなく字も読めるようになっていた。魔法って便利だ。

レイはクッキー食べ終えたらしく、もう目を瞑ってしまっている。どうやらお茶は一人で行くことになるようだ。


「もう、お眠ですか。じゃっ、お留守番よろしくー」


裸に革靴を引っ掛けて私は箪笥を開けた。

そう、箪笥を。

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