16
試験まで一週間を切った日、朝食のテーブルにハリー、ハーマイオニー、ネビル、そして私宛の四通の手紙が届いた。
あぁ、処罰は今夜か。
「First name、あなたも!?」
ハーマイオニーが私の手元を覗き驚いた。
「みたいだね」
何故と驚く三人に笑いかけ、手紙をくしゃくしゃに丸めてポッケに突っ込んだ。
「君、何をしたんだい?」
ロンに聞かれ「さぁね」とかわす。まさか、あの『アバダケダブラ』発言が校長の耳にまで入ってお説教プラス罰則をもうけられたなんて、間抜けすぎて言えない。
まぁ、これも運命なのだろうと、引きつった笑いを浮かべながら熱い緑茶に口を付けた。
ちらりとスリザリンのテーブルを見ればドラコにもどうやら同じ物が届いたようだ。
怒りか、はたまた恐怖かドラコの顔は青ざめていた。
ふと、スプーンに映る私の顔色も最悪だった。
今夜だ。今夜、あの人対面する。恐怖?
否、これは武者震いだろう。
拳を握り、深く長く息を吐いて自分を諌める。
会いたい。会ってみたい。世界を恐怖の渦に巻き込み闇の帝王として君臨し……そして赤子に身体を奪われた哀れなあの人に……。
彼は私の存在に気付いているのだろうか?異質な存在である私を彼はどう思うだろうか。
知りたい。会いたい。会いたい。
醜い姿になってまで、生に執着する『名前を口にしてはいけない例のあの人』に。
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