15
広間を出れば、スッと音もなく鷹が肩に羽を下ろす。その目は何かを訴えていた。
「何よ、悪いのはあっちじゃん」
それでも、私に非を訴える彼にもう一度口を開こうとした時、梟が手紙を落として行った。
嫌な予感しかないそれを見つめ、見なかったことにしようかと思えば鷹が手紙の横まで飛んで行った。
「もう」
仕方なくそれを拾い上げ広げてみれば、ほら。やっぱりろくな事じゃない。
「校長室に来ること。アルバス・ダンブルドア。……うわっ」
「だから言っただろ?」って態度の鷹にむしゃくしゃして手紙を丸め投げつければ、あっさりかわされる。
「くそー、私悪くないもーん」
断固、自分の非を認めない私に鷹は静かに溜息を零すのだった。
所変わって校長室。
「そういう問題ではないんじゃよ、First name」
「はい」
お説教されている私は肩を落としていた。額縁の歴代校長たちの視線が相変わらず煩い。どうやらフィニアス・ナイジェラス・ブラックは今はいないようだ。
「して、なぜあの呪文を知っておる?」
「……以前、どこかで聞きました」
本に書いてありましたなんて言えない。
「どこで聞いたのかは覚えておらんのじゃな?」
「はい」
「ふむ、よろしい。じゃが、今後その呪文は二度と口にするでない。この世で一番恐ろしい呪文じゃ」
「……分かりました」
分からない。何を言っているのだろう。この世で一番恐ろしい呪文は……なのに。
もし、誰かが、何かが、私を、私の大切なものを傷付けるというならば、私は迷わず死の呪文を口にするだろう。
だって、この世界の誰が死のうと、この世界の住人でない私には関係ないもの。
あれ、なんか矛盾してる?
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