13
一週間が経ち、土曜の真夜中零時にドラゴンをロンの兄チャーリーの友人に受け渡すことが決まった。
「レイー」
「ん?」
「ドラゴンって心を奪われてしまうほど美しいね」
「……」
「……何も言わないの?」
ベッドの上で仰向けになって天井に向かって左手を突き出した。まるで誰かが、その手を掴んでくれるのを待っているかのように。
「First name、君の心がそれで軽くなるのならば私は何も言わない」
隣で寄り添うように横になっていたレイは、天に向かって伸ばしていいた私の手を掴み、指を絡めながら自分の元に引き寄せた。そして、手首から滴る鮮血を尖った舌で愛でるように舐めあげる。
「レイ」
「First name、私は正義も悪もどうでも良い。君が進む道が私の生きる道だ」
「レイ……ッ」
「あぁ」
「ありがと……ッ」
腰を引き寄せられ、一層近付いた彼の胸に顔を埋め、瞼を閉じた。
いつも独りで寝ていた私。今は誰かの温もりがないと眠れない人間になっていた。
仕方がないじゃない。だって人間は独りで生きていけないのだから。
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