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07

クリスマス休暇が終わっても外は相変わらずの雪景色。しかし、生徒たちが戻って来たことでいつも通りの活気が戻り、ホグワーツに暖かい空気が駆け抜けていた。

そんな中、私は一人、別世界にいるかのように再会を喜ぶ生徒たちを定位置となったソファーに体を埋め、眺めていた。

結局、あの日から残りのクリスマス休暇を自室で過ごし誰とも関わらなかった。その所為か、久しぶりの下界は妙に体が怠くて仕方がなかった。

ひときわ激しい雨が降る日。たまたま図書室に行った帰り道、廊下で例のあの人に出逢った。


「こんにちは、クィレル教授。今日は酷い天気ですね」


窓の外は鈍色に染まり、打ち鳴らす雨が視界を覆っていた。


「こ、こんにちは、ミス・Family name。こ、こんな所でな、何をして、るのかね?」

「図書室の帰りですよ」


腕に抱えた数冊の本を見せるように持ち上げれば、クィレル教授は納得したように頷く。


「し、しかし、あ、あまり独りで、こ、行動す、するのは、よしたほ、方がいい……。そ、それに、余計なことに首を突っ込むの、もね」


私に忠告をしているのだろうか。例のあの人は私という存在をどう思っているのだろう。
否、なんとも思っていないに違いない。あまり自惚れると痛い目をみるのは私だ。


「そうですね。私も面倒なことは遠慮したいです。でも、独りじゃないですから」


肩に乗るレイを撫でながら、にっこりと聞こえるぐらいターバンに向かって笑った。すると聞き覚えのある足音が近付いて来た。私の顔はあからさまに陰る。


「ミス・Family name?」

「……スネイプ教授」

「こんなところで何をして……クィレル?」


スネイプはクィレルの存在に気付くと隠すことなく顔を歪め、私の前に出た。

これは、背に庇ってるつもり?


「これはこれはクィレル。ミス・Family nameに何か用かね?」

「せ、セブルス。わ、私はただ……」

「まぁ良い。ミス・Family name、付いて来たまえ」


何故と反論したかったが、スネイプの目が有無を言わせない。仕方なく従うことにする。せっかくの空いた午後を早く読書とホットチョコレートで優雅に過ごしたい。


「はい。クィレル教授、さようなら」


軽く会釈し、長い脚で先に行ってしまうスネイプを小走りで追い掛けた。背後から突き刺さるような視線は、気の所為だと思いたかった。


「クィレルには近付くな」

「え?」


歩くスピードを緩めないスネイプに着いて行くので精一杯で、よく聞こえなかった。スネイプは忌々し気に舌打ちすると、足を止めローブを翻すように振り返った。そして見下す。


「クィレルに近付くなと言ったんだ。ご理解頂けましたかな?」

「……はい」

「なら良い。さっさと自分の寮に戻れ」


もうスネイプは私を見ていなかった。早々と行ってしまい、取り残された私はまた窓の外を見上げる。相変わらず雨音だけが響いていた。

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