心読みくん、喧嘩する
「わからずや。もういいよ」
心読みくんはいつもと変わらぬ顔に怒りマークを貼り付けてスタスタと行ってしまった。
現在、文化祭三日目である。
「あー、First nameちゃん?」
「コンちゃん」
「う、うん」
「私、私、心ちゃんに嫌われた」
「あー、うん」
心読みくんが去って行った方を見つめるその双眼からは、ぼろぼろと惜しみなく涙という名前の雫が零れ落ちていた。
「えっと、追い掛ける?」
「……帰る」
「え?」
心読みくんが去って方向とは真逆に歩き出したFirst name。コンちゃんことキツネ目くんは、おろおろと二人が去った方向を見比べていたが、本当にFirst nameが初等部寮の方へ向かっていると知り、心読みくんが去った方へと駆け出したのだった。
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