06
このクラスは、なかなか個性豊かである。まぁ、アリス学園なんて個性以外なにもないのだけれど。その中でも飛び抜けて個性の塊であるのが、こいつ。
「おい、Family name」
「何だい、棗くん」
珍しく声を掛けてきた日向棗に頬杖ついたまま顔を向ける。
「お前、またペルソナに捕まったのか?」
「あはは、捕まってなんかいないよ」
私は自らその鳥籠に飛び込んだのだから。それに彼は私を捕まえてなどくれない。
「そうか」
くるりと背を向けて自分の席に戻っていく棗。棗と私は同じ危険能力系のクラス。棗なりに私を心配してくれているらしい。
不意に金髪美人こと乃木流架と目があった。なんとなく頭を下げれば、向こうも慌てたように頭を下げた。良い奴だ。
ただ一つ言わせてもらうとすれば、その腕の中にいる兎はなんだい?
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