05
「あ、First nameちゃん!」
午前の授業が終わるとひょっこり現れたのは我がクラスの担任、鳴海先生だ。手を振りながら近付いてくるそれに顔を歪めれば心読みくんに「だだ漏れだよ?」なんて言われた。
「おはよー、First nameちゃん!一時間目に来ないから僕心配しちゃった!」
なんてスマイル向けてきたこいつの腹の中なんてもう見え透いているのだ。
「……」
「あら、First nameちゃん?」
「遅刻してすみませんでした」
「あららー?」
勘繰られるのも面倒くさい。素っ気ない態度で謝罪を述べた。鳴海は笑ったまま首を傾げているが、きっと……。
「じゃあ、サボった罰則も受けてく……」
「それは、いや!」
罰則なんてごめんだと皆まで言わずに切り返せば「もー」なんて唇を尖らせた鳴海。可愛くなんてないぞ、この野郎。
「じゃあ、放課後僕のお手伝いでもしてもらおうかな」
「は?」
「うん、そうだそうしよう!」なんて手を打って満足そうに笑っている鳴海に何言ってんだこいつみたいな視線しかもう送れない。
「だって、ここのところFirst nameちゃん遅刻多くなったよね?さすがの僕も他の先生にグチグ……注意されてね。ここらへんでしっかり叱っておかないと」
「……」
「あはっ、僕のフェロモンの餌食になるのとどっちが……」
「やらせて頂きます」
鳴海のフェロモンの餌食になんて絶対になりたくない。
「あはは、First nameちゃん頑張れ」
「この野郎」
隣で他人事みたいに笑った心読みくんのぷにぷにホッペに拳をぶつけた。
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