11
腕に包帯、顔に絆そこエード。
「馬鹿じゃないの」
「あはは、酷いなー。First nameちゃん」
昨夜の脱走騒ぎに鳴海・L・杏樹の怪我。だいたいのことは想像できる。
「それ以上近付かないで」
ごく自然にテリトリーを狭めてこようとした鳴海にぴしゃりと言う。
「そんなに怯えなくても」
「……とても惨めね、鳴海」
第三者から見れば鳴海の佐倉蜜柑への行動は特別以外なんでもない。
「あなたの性癖がペドだから?あぁ、それとも」
「……」
「あの子があなたの執着するあの人の娘だから?」
鳴海が瞠目する。私は可笑しくて仕方がなかった。いつもヘラヘラしてスカした鳴海の顔が崩れるのが。
「あぁ、ほんと、可哀想な男」
可哀想すぎて可哀想すぎて可哀想すぎて、ぐちゃぐちゃにしてしまいたい。
[ 32/32 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]