05
夜、良い子は寝静まり返った時間。ペルソナと同じ仮面を付けて、お仕事の時間だ。
「あれ?ハヤテだ」
「よ、First name。今日は俺も一緒だってよ」
「そうなの?聞いてなかった」
「おう」
堂々と門から外出。と言っても任務だから逃げることなんてできないのだけれど。門の前に停車している黒塗りの高級車に乗り込む。
「それにしても、久しぶりに見たな。その姿」
「一緒の任務久しぶりだもんね」
「ほんと、実際どの任務もお前一人で充分だもんな」
残念だと言う口調にクスッと笑う。危力の皆は私のアリスを知っている。一つは、自由に年齢を変えられる能力。『アリスのアリス』だ。そして、もう一つは……。
「うっわ、すっげー。ほら、やっぱり俺いらなかったんじゃね?」
「そんなことないよ。ハヤテの力はババっと片付けられるから好きー」
目下には倒れた人人人。まるでゴミのようだ。
「学園に抗うからこんな目に遭うんだ」
「確かに。さ、帰ろうぜ。深夜アニメ見逃しちまう」
「エロアニメ?」
「ち、ちげーよ!」
遊び終わったかのように無邪気に笑い合う少年少女に、ゾッとしたのは付き添いの運転手。自分の能力がこの子達のように恐ろしいものでなかったことに安堵するとともに、二度とこの仕事から抜け出せないことを知ったのだ。
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