04
なんなんだ、こいつ。
「おい、顔」
「おっと、失礼」
持ち上げくんに指摘されて、顔を引き締めた。きっと、ぐへって感じに酷い顔をしていたに違いない。
「あれ?あんた初めて見る顔やな。名前教えてーな」だって。この野郎。新顔はお前だろうが。
「名前を聞くときは、まず自分から名乗りなさい。お嬢ちゃん」
「へ、お嬢ちゃん?うちは、佐倉蜜柑。よろしく!」
「そう」
「……あれ?」
思わぬ返しに佐倉蜜柑は差し出した手をぐっぱぐっぱさせながら首を傾げた。
「ごめんなさい、Family nameさん。うちの阿呆が」
「ちょっ!蛍!アホってなんや!うちはただ!」
「まぁまぁ、落ち着いて蜜柑ちゃん。こちらはFamily nameFirst nameさん。ちょっと病気がちだから、蜜柑ちゃん会うの初めてかな?」
「病気がち……そうなんか」
委員長、いつの間に私はか弱い設定になっていたんだい?
「First nameちゃんは病気がちなんだよねー。お寝坊さんていうー」
「うわっ、心読みくん、おーもーいー」
背中にのし掛かってきた心読みくん。
「なんや、ただの遅刻魔か」
「むむむ、聞き捨てならないな。そういう君は何だがゲロ臭いけど?」
「う」
「私は遅刻してもゲロ掃除なんて罰則受けたことないもーん」
言って、しまったと口を押さえるが既に遅し。クラス皆からの視線とブーイングを受けた。
「お前、遅刻してもペナルティーなしなのかよ」
「あっは、私か弱くて」
持ち上げくんに蔑んだ眼差しを送られた。
遅刻しても注意されるだけ。罰則なんてない。だって、大半が任務のせいだもの。許されて当然。まぁ、この前みたいなことはたまにあるけど。
「First nameちゃーん」
「んー?」
「なんだか、First nameちゃんのココロ読み辛くなったねー」
「それはそれは何よりですー」
あなたと交われば交わるほど、あなた色に染まる。
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