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ただ、自分が汚ないと思っただけ。あなた以外の人に触れられたのが、どうしようもなく許せなくて。
伸ばされた手を払った瞬間、やってしまったと後悔した。
違うのに。あなたが嫌なんじゃないのに。違うのに。全部私がいけないのに。
「ごめんなさい」
目が覚めたそこは彼の温もりも香りもしない、無機質な自分の部屋だった。
「ごめんなさい」
あなたを傷付けてしまって。
「ごめんなさい」
あぁ……どうか。
「許して」
もう一度、もう一度だけで良いから、この身体を抱いて。
違う男の感触が残る自らの身体に爪を立てた。
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