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扉を開ければ賑やかなそこは珍しく静まり返った。そして浴びる視線視線視線。
「あはっ、お久しぶりー」
「Family nameさん!」
わっと溢れかえるように息を吹き返したクラスメイト達が、わらわらと寄ってくる。中でも一番最初に我に帰って駆け寄ってきたのは今にも泣きそうな、いや既に泣いている委員長だった。
「あはは、委員長おはよー」
「お、おはよーじゃないよ!」
「およ?」
あの委員長が何やらご立腹のようです。
「あなた委員長を怒らせるなんて自分の罪を反省なさい」
スミレちゃん、罪って。
腕組みしながら偉そうにいう猫目な女の子の台詞に苦笑しつつ、よしよしと委員長の頭を撫でた。
「First nameちゃん!」
「ぐえっ」
カエルが潰れたような声を出してしまったのは心読みくんがお腹に激突してきたから。
「First nameちゃんFirst nameちゃんFirst nameちゃん!」
どうやら心読みくんにも寂しい思いをさせてしまったらしい。愛されてるな私、なんて浸っていれば何やら殺気を感じた。
「棗くん」
殺気をたどった先にいたのは予想通り日向棗。紅い眼で私を睨んでいる。
「棗くんもよしよしして欲しいの?」
「ぶっ殺すぞ」
冗談かませば本気の殺すぞが返ってきました。最近の若者は怖い怖い。
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