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05

私の言葉に目を見開くマルコとその他。何言ってんだ?という視線を向ける。一瞬その視線に体が固まった。

久々に感じる人間が自分と違う人間を蔑むような軽蔑するような目。吐き気がする。


「First name、どういうことだぃ?」

「風が変わったの。このまま船を進めちゃダメ」

「でもよー、航海士は一言も……」

「分かった。そのように航海士に話して来よう」


マルコの言葉を遮って言ってくれたのはビスタ隊長。私の根拠もない言葉を信じてくれるらしい。


「マルコ、自分の部下の言葉は信じるべきだ」


ビスタ隊長はかっこ良く言い捨てマントを翻しながら船内へと姿を消して行った。

気まずそうにポリポリと頬を掻くマルコに苦笑して、また空を見上げる。否、睨みつける。

少し強めの風が吹いた。


「駄目だ……。今から進路を変えても間に合わない!レッドたち、すぐに帆を!あー、ダメ!そんなことしてる暇ない!と、とにかく船内に入って!」


私の慌てた声は自分が思っている以上に大きかったらしく甲板に出ていた他のクルーも、どうしたどうしたと集まってきた。

状況がよく飲み込めない皆は船内に入ってくれない。


「あー!もうっ!」

「落ち着けよい」


穏やかな声で言ったマルコは私の髪を撫でる。


「おおおお落ち着いてる場合じゃないんだよっ!来る来る来る来る!」


風が止んだ。

ハッとした瞬間、嵐のような突風が直撃していた。船が大きく揺れる。モビー程の巨大な船が傾いているんだ。

誰かが叫ぶ声がした。

私は誰かの腕の中にいた。凄い力で押さえ付けられている。強い風に目が開けられない。私を包み込んでくれている人の腕の隙間から、ほんの微かに瞼を押し上げ目を凝らしてみた。

緑色の物体が横切った。

グリーン?


「い、いやぁああああ!」


私の叫び声に反応するように新しい風が吹いた。


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