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ツイてないなぁ、とまた溜め息を零していれば周りの人たちがボソボソ何か言っている声がした。


「あれネズミ三兄弟じゃないかい?」

「あーあー、あの兄ちゃん運が悪いな」

「可哀想に」

「あいつらに目を付けられたらどーしよーも……」


ふーん、やっぱり悪い奴なんだ。てかこの三人、兄弟なの?似てねー。


「おい!聞いてんのかよ!」


背の低い方のネズミが胸ぐらを掴んできた。そしたら反射的に手が出てしまった。しかも見事クリーンヒット。


「あ、ごめん。つい、いつもの癖で」


悪い悪いと後頭部を掻きながらヘラヘラと笑う。内心、自分やるーって褒めていた。


「てめーよくも兄ちゃんを!」


巨体の発言に驚愕した。

お前が長男じゃねぇの!?

「うわぁあああああ」と雄叫びをあげながら向かって来る背の高い方のネズミを、ひょいっと躱せば山積みになった樽に突っ込んで行った。


「あーあ、痛そー」

「お前、兄ちゃん二人をよくも……」


いやいやいやいや、確かに一人目は私の過ちだけど二人目は勝手に突っ込んだんだから私関係なくない?

キレた巨体が襲いかかってくる。さすがに迫力があったため少し反応が遅れたが何とか躱した。そしてそのまま振り返れば巨体は兄みたいに突っ込まず、また向かってきた。

うおっ、こえー!

イエローに習った通り飛んで来るパンチを避けそのまま贅肉で届くか分からない肋骨めがけて拳を捻り込む。が、やっぱり贅肉のおかげか全く効いてる感触がなかったため素早く懐から逃げ出した。

この巨体じゃ蹴っても殴っても意味ないんじゃないのか?

初めての実戦に緊張からか、ちょっと動いただけなのに体力が消耗しているのが分かる。その証に息切れしてるし。

私の渾身のパンチは多少なりとも効いていたようで背中を丸めてる瞬間に近くにあった樽に飛び乗り、そのままの勢いで膝蹴りを顔面に入れた。

さすがに、これは痛かったようだ。膝を付いた巨体の脳天に銃口を突き付けた。


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