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16

んー、久しぶりに履くとやっぱ違和感。てかスースーする。


「ねぇねぇ、どう?」


試着室の扉を開けて聞いてみた。もちろん隊長二人に。


「First name、お前本当に女だったんだねぃ」


マルコひどい。


「First name!いいいいい良いよ!すんごく良い!」


グッと親指を立てたサッチ。まぁ褒められて嬉しくないわけわない。ちょっと照れた。


「買います」


少しだけ女物の服を購入しました。ついでにカツラと化粧品も。


「First name、女ってバラすのかい?」

「バラすも何も女じゃないなんて一言も言ってないしー」

「うわー、First nameの女装楽しみ!」

「は?サッチなんだと?」


つい隊長って付け忘れた。女だと知ってる人の言われると傷つく。


「あー!ごめんごめんごめん!」

「ふん、サッチ隊長なんて知らなーい」


二人を置いてつかつかと歩き出す。

実はエリザに絶対女物の服と化粧品を買ってこいと脅されていたのだ。だから仕方なく、本当に仕方なく買ったのである。

胡散臭い神が言っていたのを思い出す。彼女は愛を求めたと……。その愛を、ナナちゃんは掴むことができたのだろうか。

フラフラと歩いていたら肩がぶつかった。


「おっと、悪いね」


軽く頭を下げてそのまま通り過ぎようと思っていたら呼び止められた。


「ちょっと待ちな、にーちゃん」


これは面倒な奴にぶつかったんじゃないか?

嫌々ながら振り返れば、私の倍ぐらい横も縦もありそうな巨体をしたいかにも悪役ですみたいな面した男がいた。ちなみに子分らしきネズミが二匹。


「なんか用かい?」

「今ぶつかったせいで腕が折れちまったみたいなんだがなぁ」


うわ、なんてマニュアル通りの悪役なんだ。若干引いた。


「慰謝料出してけよ」


お前のぶっとい腕がぶつかったくらいで折れるか。思わず溜め息を零す。そういや隊長達はどこだ?キョロキョロと見渡しても姿が見えない。フラフラ歩いているうちに迷子になったようだ。


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