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- ナノ -
14

停泊二日目、今日は甲板掃除。


「さいあくだー」


朝帰りしたイエローと声が重なった。


「まじ寝不足」

「僕はスッキリ爽快だけど?この広い甲板を四人で掃除するのは最悪」

「うぜっ」

「中折れしなかった?」

「してねーよ!」


ゲラゲラくだらない喋りは本当に楽しくて、元の世界じゃベラベラ喋る人間を見てシラけた視線を送っていた自分が反対に恥ずかしく見える。

仰ぐ空は本日も快晴。自然と緩む口元。


「ボーッとしてんじゃねー!」


イエローのデッキブラシ攻撃を私もデッキブラシで受ける。


「お、やるなー」

「だてに三ヶ月鍛えてないからね」

「やっぱ師匠の俺のお陰だなー」


うんうん、と頷いて浸っている隙にするりと受け流し、そのままデッキブラシを腹部に叩き付けた。気分はホームランを打ったイチロー。


「いってぇ!」

「First name、やるー」

「まぁね」


レッドとグリーンに褒められた。

そのままデッキブラシでチャンバラしてたら先輩クルーに「てめーら真面目に掃除しろ!」て怒られた。

そして気付けばいつの間にやら夕暮れ。


「あー、疲れたー」


ピカピカになった甲板に寝転ぶ私を含め四人。


「今日は町行けなかったねー」


グリーンの残念そうな言葉に皆頷く。


「まぁ、俺は今夜も女んとこに泊まるけどね」

「あー、俺はいいや」

「僕もパース」


ウキウキした黄の言葉に赤と緑が答える。


「はぁ?お前らだらしねーなー」

「だらしないのは、お前の下半身だ」


私の冷ややかなツッコミに赤と緑がのた打ち回りながらゲラゲラ笑った。

あー、今日も楽しかったな。こんな楽しい日々が続くはずないって心の片隅で知っていた。


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