12
ジーンと浸っているとおばちゃんが戻ってきた。
「私も昔は銃と刀両方使ってたんだ。そん時のもんだよ。少し古いが上等な革製だ、使ってくれるかい?」
「い、いいんですか?」
「もちろんだ。あたしゃ、戦う女の味方だよ」
おばちゃんが持ってきてくれたのはカッコイイ銀細工のバックルの付いた革製のベルト。ただのベルトじゃなくて銃と刀がさせるようになっている。
「本当は刀をさすんだが、あんたが選んだナイフなら問題ないだろうよ」
「何から何までありがとうございます」
おばちゃんの優しくて豪快な笑顔を胸に刻み私は銃とナイフを身につけた。
この武器は、誰かを傷付けるためじゃなくて、誰かを護るために使いたいと心の奥底から思った。
大量の弾も割安で購入した私は一人一袋ずつ抱えてさせていた。
「よっし、船戻るか」
「うん」
私の隣を歩くのは、やっぱりレッド。
「良いのが見つかって良かったなー」
「うん」
「これでまた特訓にも精が出るわけだ」
「う」
「まぁ、その前に夕飯だ」
確かに、いつの間にか空が赤くなっている。
「みんなでどっか行くのかな?」
「そりゃーなー。久しぶりの島だしなー」
「わた……僕、船残ろうかな」
「お前、本当にあーゆーところ苦手だよな」
「イエローみたいに万年発情期じゃないから」
イエローの名前を出せば前の方を歩く黄色い頭が振り返り「何か言ったかー!」と叫んだから「何もー!」と返事をした。どんだけ地獄耳なんだよと私たちは笑った。
「イエローじゃなくても一ヶ月お預けされてたら皆あーなるぞ」
「僕はない」
「あっそ。もしかして、お前童貞?」
取り合えずレッドに軽蔑した視線を送っておいた。
童貞じゃなくて処女だし。[ 72/350 ][*prev] [next#]
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