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にこにこ笑顔な私に比べて何だか、ぐへって感じの、じとっとした視線をしているトリオとマルコ。
「どういうことだよい」
「やっぱ、お前戦闘員じゃなかったのか」
「え、何で僕たち?」
「戦えねーで何でお前、海賊やってんだよ」
マルコ、親父には許可とったよ。
レッド、うん私ってば戦闘員じゃないんだよ。
グリーン、何でか知りたい?知りたい?ねぇ、知りたい?私ってば人見知りで、話せる人が限られてるんだよね。だから君たち。
「皆さん、よろしくー」
「いや、別に良いけどよー……」
「よくねーよい」
ポリポリ後頭部を掻きながら仕方ねーなーって感じで言ってくれたレッドの言葉を、ばっさりマルコが切り捨てた。
「え、マルコに決定権ないし」
「あ゙?お前は隊長である俺の隊の部下だい。分かってるだろい」
今にも覇気が出てきそうな雰囲気に、マルコの表情と声色が変わる。
「……マルコ隊長、しかし私は船長から許可を頂きました」
ごくっと生唾を飲み込み恐る恐る口を開く。
「隊長、First nameが一番隊の隊員だと言うならば戦えるように鍛える必要はありませんか?」
「黙ってろい」
「……ッ」
イエローは、ぐっと口をつぐむ。それほどマルコは怒っていた。
「First name、来い」
「ちょっ、待ってマルコッ!」
私の制止など聞いてもらえず、腕を掴まれたまま引き摺られるかのように船内を進む。
どこに行くのかは途中で気付いた。マルコの部屋だ。
すごく嫌な予感がした。怖い、すごく怖い。マルコが怒ってる。
状況が変わったのは自分のせい。流れに身を任せていれば良かったものの、自分から動き出してしまったから。
やっぱり、ろくなことはない。自分の意思なんていらないんだ。こんなに怖いなら、こんなすぐ壊れてしまうなら、やっぱり何も考えず、時が過ぎるまま傍観者でいれば良いんだ。[ 60/350 ][*prev] [next#]
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