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「#エロ」のBL小説を読む
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- ナノ -
18

ぱちっと瞼が開く。そこには、いつしか見た天井。暇すぎて染みの数を数えていた私が見間違えるはずない。なにより、この薬品の独特の匂いを鼻が覚えている。


「お、起きたかー」

「……ドクターだ」

「気分は?」

「んー、状況が全く読めない、そして悪夢で最悪。つまり良くないと思われる」

「……そーかそーか、大丈夫か。そりゃ良かった」

「え、ドクター。私、大丈夫なんて一言も言って……」

「マルコ隊長呼んで来るなー」


ドクター、患者の心を無視するとは良い度胸だな。医師免許剥奪してやる。お前なんかヤブって呼んでやる。


「おう、大丈夫かよい」

「だめ」


カーテンから覗き込むように入ってきたマルコに今度は速答する。


「……ドクター、駄目って言ってるよい」

「仮病だ、仮病」


私を指さしながらカーテンから顔だけ出してマルコがドクターに伝えれば、向こう側から信じがたい言葉が返ってきて、さすがのFirst nameちゃんもカチーンてきた。


「仮病じゃないし!ほら見てマルコ!手!手!手、震えてる!」

「うおっ、まじだよい」

「むぅ、ヤブドクターなんて知らん!」


バサッと掛け布団を剥ぎ取った私は裸足のまま床に下りて、無駄に図体のでかいマルコを押し退け勢い良くカーテンを引いた。

エロ本読んでやがった。

ドクターを睨み、私は医務室から出ていった。マルコが何か言ってたけど知らん。


「うー、白ひげー!」


まるで虐められたか仲間はずれにあった子供が親に泣き付くかのように私は白ひげを求めて船長室へと向かった。


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