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12

ウキウキ気分でマルコの部屋を開けようとしたら何かが私をそれを止めた。ある意味、女の勘。

取っ手に手を掛けたまま耳を扉にくっつければ、聴こえてきたのは思わず目を瞑ってしまった女の喘ぎ声。

あー、確か次の島まで何人か女を乗せてるんだっけ?じゃあ、さっきのイゾウのも……。


「First name?」

「エリザさん」

「おいで」

「……はい」


気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い、キモチワルイ。


「うぇっ」

「あらあら、First nameはウブなのね」


背を擦ってくれるエリザさんの手がすごく温かい。


「はい、処女っすから」

「ふふふ。あら?美味しそうなクッキー」

「サッチの焼きたてクッキーです」

「じゃあ、紅茶をいれるわ。皆でお茶にしましょう」

「はい」


ふわふわしてる。何だかフワフワしている。隊長達に会って、まるで夢の中にいるように思えて、一瞬浮かれてた。

ぎゅっと現実に戻してくれてありがとうマルコ。この世界が紙の上で語られない汚い部分があるって教えてくれてありがとう。


「お客だからって私達があの女の洗濯とかさせられてるのよー。まじないわー」

「こらマリア、口を慎みなさい」

「エリザー、だってぇ」

「まぁ、確かに早く次の島に着いてほしいわね」


うんうん、女だってバレないように精一杯頑張りたいと思います。


「それより、First name。あなたマルコ隊長とどうなってるのよ」

「へ?」

「部屋、出入りしているんでしょー?」


マリアさん好きそうだね、その手の話。


「何にもないっすよー。僕、男の子ですから」


にっこり笑ったらマリアに白けた目をされた。こわっ!


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