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11

ふー、危うく純潔を奪われるところだった。

安堵の溜め息を吐いていると前方から背の低めな白タイツがお似合いの、あの人が来た。

グッドタイミング王子!


「ハルタたいちょー」

「ん?君は……」

「一番隊隊長のお使いで来ました。First nameでーす」

「あー、君が噂の……」


いや、噂ってどんだけ広がってるんだよい。


「はい、どーぞ。でわ、失礼し……なんでしょーか?」


もう疲れたから早々に立ち去ろうとしたら腕を掴まれた。


「いや、何でもない。一瞬……いや、呼び止めてすまなかったな。確かに受け取ったとマルコに伝えてくれ」

「うぃーす。了解しましたー」


お使い終了かと思いきやサッチのところへ行かねば。

自室に向かったが中から返事はなく食堂を覗けば甘い匂いが漂ってきた。


「う、甘い」

「First name!丁度よかっ……」

「報告書」

「へ?」

「報告書だせ。byマルコ」


調理場から顔を出したサッチに、はよ出せと手を出せば、がくっとサッチの肩が下がった。


「サッチたいちょ?」

「あー、それがまだー……」

「あぁ、可哀想なサッチ隊長。がんばって下さい。灰は拾いますよ」


サッチの手からお菓子を頂き、いや奪い?マルコの部屋へと食堂を後にした。

何やら背後でサッチが喚いていたけど知ーらない。だって、この手の中にある鼻を擽る甘ーい香りのクッキーが食べたくて食べたくて。

初めてのお使いのご褒美を貰ったみたいでルンルン気分でマルコの部屋に急いだ。


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