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いったい何杯目か分からない色鮮やかな液体の入ったグラスを豪快にあおった。白ひげの船員達が溜まっていた一角を見れば人数がいくらか減っている。きっと女と共に宿にでも行ったのだろう。

姿を消した中にサッチと……マルコがいたのは、もう気付かない振りをした。


「そろそろやめた方が良いですよ」

「……そうだね」


そう言いながらも空になったグラスをバーテンに差し出した。


「あと一杯だけですよ」


溜め息を溢しながらも酒を作ってくれるこのバーテンは本当に優しい。


「私って男に見える?」

「まぁ、見えなくは……」


フォローを貰えると思っていた私は、がくっと肩を落としカウンターに突っ伏した。


「きっと、その服装とバンダナのせいですよ」


ふと頭に触れられた感覚に顔を挙げれば、すっとバンダナを取られた。


「ほら、これなら誰も間違えたりしませんよ」


いやいや、そんな満足気に言われても……てか、バンダナ返してくださいよ。


「なぜ男装なんかしてるんですか?それはそれで、そそるものはありますが」


ぼそっと語尾に聞こえたものは、この際スルーしようじゃないか。


「別に男装してるわけじゃないっすよ。ただ海の上じゃ、こっちの方が楽なんですよ」


そう、ただ楽だから。

今更、女ぶったりしたって仕方ないじゃないか。

この世界じゃ、ううん……前の世界でも私を守ってくれる人なんかいないから、自分の身を守っるためにも女である自分なんかいらない。

もう遅い。

人を殺してしまったんだから、この先何人殺めても同じ。

私は運命のルートに乗るしかないんだ。


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